コストは3割高、工期は3ヵ月短縮

 気になるコストや工期についてはどうだろうか。

 竹中工務店木造・木質建築推進本部副部長の小林道和氏は、単純な比較は難しいとしながらも「10階建ての賃貸マンションをRC造で計画した場合と比較して、コストは約3割高くなっている」と説明する。2時間耐火を実現する耐火被覆を行うことがコストアップにつながる。ただし、重量についてはRC造との比較で3~4割軽いため、杭をなくして地盤改良で建物を支えることができるようになり、木造化によるコスト減の効果があるという。

 このプロジェクトは、林野庁の平成28年度CLT建築物等普及促進事業のうち「協議会が取り組む実証的建築支援事業」で設計検証および技術検証費用が補助対象となっている。また、国土交通省の平成29年度サステナブル建築物等先導事業(木造先導型)の採択も受け、建設工事費について補助対象となっている。

 小林氏は「CLT活用に当たって、コストの合理化は重要な課題だ」と話す。

 一方、工期については「RC造の標準的な建て方では14カ月が見込まれるが、このプロジェクトでは11カ月と、約3カ月の工期短縮を実現している」(小林氏)。建物の軽量化で杭基礎を地盤改良にできたことや、在来のRC造床では1フロア当たり3~4日かかるところを、CLT床であれば半日となることなどが工期短縮に寄与している。

 集合住宅ならではの課題として、上下階の音の問題もある。海老澤氏は「今回採用したCLT床は全体で410mmの厚さとなる。入居後に音を計測したり、実際に居住者がどう感じるかなどを調査したりする」と話す。また三菱地所では、木材の使用が住宅の付加価値として入居者にどのように評価されるかを、アンケートなどを通して調査する予定だ。

工事に当たっては、燃エンウッドやCLT床・壁部材の製作を先行した。工期は11カ月をみている(資料:竹中工務店)
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泉区高森2丁目プロジェクト(仮称)の完成予想図。19年2月に完成する予定だ(資料:竹中工務店)
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計画概要

  • 計画地:宮城県仙台市泉区高森2丁目1番地
  • 建築主:三菱地所
  • 設計・施工:竹中工務店
  • 用途地域:第二種中高層住居専用地域
  • 地区計画:パークタウン地区計画
  • 敷地面積:3,550.78m2
  • 建築面積:520.0m2
  • 延べ床面積:3604.79m2
  • 建物高さ:地上10階・33.695m
  • 構造:木造(CLT床・耐震壁、燃エンウッド)+鉄骨造
  • 総戸数:39戸
  • 専有面積:51.44m2〜89.43m2
  • 間取り:2LDK・3LDK
  • 工期:2018年3月~19年2月(予定)
  • CLT利用箇所:床の一部(約1000m2:床全体の約30%)、壁の一部(約110m2)、材積約200m3