「森林環境税及び森林環境譲与税に関する法律案」が3月27日、成立した。森林環境税は2024年度から個人住民税に上乗せして1人当たり1000円を徴収する。森林環境譲与税は森林環境税を配分する時の名称で、19年度から始まる。森林の公益機能の維持・拡大を目的とし、山間部では森林整備の促進、都市部では木材の利活用・普及啓発が期待されている。

森林環境税は国内に住所を有する個人から1人あたり年間1000円を課し、市町村が個人住民税と併せて徴収する。森林環境譲与税は徴収した森林環境税を、利用する主体である市町村と都道府県に配分する際の名称となる(資料:林野庁)
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森林環境譲与税の各年度の金額は、市町村の体制整備に合わせて徐々に増加する。市町村分および都道府県分は、各自治体の「私有林人工林面積(比重50%)」、「林業就業者数(同20%)」、「人口数(同30%)」によって案分する(資料:林野庁)
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 森林環境譲与税の使途について、三菱地所、竹中工務店、三井住友信託銀行、日経BP社で構成する「都市木造を考える会」は、民間の視点から都市木造に関する提言(案)をまとめ、公表した。国産材の利用拡大に向けて、民間事業者による中大規模建築物の木造化を促進する内容となる。現状で負担が大きい木造化のコストアップ分を支援するため、森林環境譲与税を活用した「ためる」「たばねる」「つなぐ」「あわせる」「あたえる」の5つの提言だ。

 提言は、森林環境譲与税の配分で人口比率の影響が大きい都市部の自治体を対象とした。いくつかの自治体では、森林環境譲与税の使い道が考え切れておらず、基金化して先送りすることも懸念される。貴重な財源を有効に木材利用に使ってもらうことが目的だ。

 今後、建築物の木造化が進み、木材の需要が拡大すると、山側から木の供給が増え、コスト低減につながる良いサイクルが生まれる。木を植えて育てて伐採してまた植えるという循環型の森林サイクルも構築できる。

 森林環境譲与税は公共建築だけでなく、もっと大きな市場である民間建築にも活用すれば、自立的に木造化を促進するインセンティブ(誘因)になり得る。そして街中に増えていく木造建築は、都市部の市民が森林環境税を納税する意義を認識するためのわかりやすい「装置」になる。継続的かつ長期的に国産材の市場を育成していくために、都市部の自治体が果たす役割は大きい。

「都市木造を考える会」の提言の骨子。森林環境譲与税の使途として、民間の視点から都市木造に関する提言をまとめた(資料:日経BP総研 社会インフララボ)
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