近年、注目を集める中大規模の木造建築。実は、欧州では20年ほど前から取り組みが進んでいる。法政大学デザイン工学部建築学科教授の網野禎昭氏は、2019年3月に東京ビッグサイトで開催した「建築・建材展2019」会場内セミナーで、欧州における木造建築の大型化やエネルギー自立の伝統的背景を紹介し、再生可能資源である木材を生かした社会形成について講演した。その内容を報告する。

法政大学デザイン工学部建築学科教授の網野禎昭氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
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 日本でも戸建て住宅以外に、中大規模の木造建築が建てられるようになってきた。実は、中大規模建築の木質化・木造化の動きに先駆的に取り組んできたのは欧州だ。

⽊造5階建てのシュペットルガッセの集合住宅(オーストリア・ウィーン、2005年、Hubert Riess)(写真:網野 禎昭)
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ベルン応用科学大学(スイス・ビール、1999年、Marcel Meili・Markus Peter)(写真:網野 禎昭)
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オーストリア・ウィーンの郊外にある4階建てのミュールヴェックの集合住宅(オーストリア・ウィーン、2006年、Hermann Kaufmann)(写真:網野 禎昭)
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 高さへの挑戦も行われている。現在、欧州では24階建ての木造が施工中だ。

8階建ての木造オフィスビル。ライフサイクル・タワー・ワン(オーストリア・ドルンビルン、2012年、Hermann Kaufmann)(写真:網野 禎昭)
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 こうした中大規模の木造建築は、1990年代後半から取り組みが始まり、欧州の各地で建てられるようになってきた。

 なぜ、欧州が木造建築の先進エリアとなったのか。森林の蓄積量は、森林国である日本の方がはるかに多い。それにもかかわらず、欧州では木造建築が普及した。その文化・歴史的な背景を紹介する。