大断面集成材の規格化で都市木造が進む

大断面集成材が規格化され、価格がこなれてくれば、都市部の中層・耐火建築物の木造化が進みます。

 都市部の4階建て以上の中層・耐火建築物は、鉄骨造では標準接合が整備されています。これを木造に置き換えようとするなら、同じように大断面集成材向けの標準接合のようなものが求められます。

 標準接合をつくって、仕様書も整備します。そうすると、見積もりができるし、構造設計者も一貫計算ソフトで計算できます。施工者もノウハウがたまってくれば、どのような建て方の順番にすればよいかが分かってきます。

 この議論の先には、樹種の問題もあります。国産材ならばスギ、カラマツですが、しばらくすれば北海道ではトドマツが多く出てきます。四国・中国ではヒノキをもう一度復活させたいという要望も聞いています。

 そういうものに付加価値をつけて、鉄骨なら基本価格にプラスいくらという仕組みを木材にも当てはめるといいでしょう。例えば、スギの強度等級はE65で、カラマツはE95、ヒノキはE95なので、それに見合ったコストを付加価値としてつけるなど。

 よく使われる材について、われわれは、「中層大規模木造研究会設計支援情報データベースKi」という設計支援情報を作成・整備しています。

中層大規模木造研究会設計支援情報データベースKiの画面例(資料:中層大規模木造研究会設計支援情報データベースKi)
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材料や標準接合を入力することで構造解析が簡便になる(資料:腰原 幹雄)
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 標準断面について、標準接合の性能のデータを入力すると、構造設計者が求める解析情報が出力できるようになります。標準的な構造であれば、データベースを使って構造計算できます。「それではつまらない」「大空間など魅力的なものをつくりたい」などのニーズがあれば、樹種を変えたり、高強度な材料を部分的に使ったりするなどして解いていけばよいのです。

 鉄骨造ではこうした構造計算を支援するデータベースが当たり前です。木造にはそれがなかったので、恐らく取っかかりにくかったのでしょう。規格材の供給体制を整備し、標準接合や材種による構造計算をデータベース化することで、都市木造は進んでいくと思います。

東京大学生産技術研究所教授の腰原幹雄氏(写真:日経BP総研 社会インフララボ)
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