当初の目標としていたパリ市内の近現代建築・必見30選は、なんとか書き終えた。スピンオフ・リポートの田根剛氏デザインによる「風呂敷パビリオン」も含め、9本の記事は下記のとおりだ。見逃した記事のある人は年末年始に読んでみてほしい。

(1)パリ・ポンピドーで安藤忠雄展が本日開幕、展示風景をいち早く!
(2)丹下、黒川、伊東─パリで存在感を示す日本の巨匠たち
(3)隈、坂、SANAA─日本人建築家は21世紀のパリにどう挑んだか
(4)ピアノ、ヌーベル─伝統と真っ向勝負するパリ建築の先進性
(5)ゲーリー、ペロー、ヌーベル─パリ市内東寄りの名作を探訪
(6)巨大「風呂敷パビリオン」がパリ市庁舎前に出現、設計は田根剛氏
(7)パリに学ぶ大胆リノベ、20世紀の奇跡「ルーブル」から最新商業まで
(8)ゲーリー、ヌーベルの近作に仰天!パリで必ず見るべき建築
(9)パリ市民注目、安藤忠雄氏が設計するピノー財団新美術館の現場に潜入

 さて、連載最終回となる今回は、余談として、フランスを代表する建築家の1人、ポール・アンドリュー氏について書きたい。

 まずは、この写真を見てほしい。

ポンピドー・センターで2018年12月31日まで開催中の安藤忠雄展の内覧会でのひとコマ。フランスで活躍する著名建築家たちが安藤氏を祝福した。右から2番目がポール・アンドリュー氏。18年10月8日の夜に撮影(写真:安藤忠雄建築研究所)
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 フランスで活躍する著名建築家がずらりと安藤忠雄氏を取り囲んでいる。場所はパリ市内。ポンピドー・センターで開催中の安藤忠雄展(会期は2018年12月31日まで)の開幕前々日(2018年10月8日)の夜、招待者による内覧会が行われた際のひとコマだ。

 スター建築家がこんなに並んだ写真を見たことがない。調べなくても全員の名前が分かる。左からドミニク・ペロー、クリスチャン・ド・ポルザンパルク、安藤忠雄、レンゾ・ピアノ、ポール・アンドリュー、ジャン・ヌーベルの各氏だ。

 そして、右から2番目のポール・アンドリュー氏は、この写真を撮った3日後、2018年10月11日に急逝した。80歳だった。

 筆者がパリから帰国して数日たったころ、安藤氏から電話をもらい、そのことを聞かされた。

 ポール・アンドリュー氏は1938年、仏・ボルドー生まれ。フランス工科大学、ボルドー国立美術学校卒業。パリ空港公団に在籍し、1974年に開港したシャルル・ド・ゴール空港のターミナル1の設計を皮切りに、ターミナル2、ターミナル3など拡張計画の設計に関わり続けた。

シャルル・ド・ゴール空港ターミナル1。外観は円形の要塞のようだが…(写真:日経アーキテクチュア)
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 パリを訪れたことのある人は、シャルル・ド・ゴール空港のデザインが記憶に残っている人も多いだろう。出世作となったターミナル1は、外観は円形の要塞のようだが、内部のインパクトがすごい。円形の中庭をガラスチューブ(段差のないエスカレーター)が多方向から交差する。SF映画のワンシーンのようだ。

施設中央、円形の中庭にエスカレーターのチューブが交差する。エスカレーターからの眺め(写真:日経アーキテクチュア)
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到着時も出発時も必ずこのエスカレーターを通る(写真:日経アーキテクチュア)
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室内の吹き抜けを見下ろす(写真:日経アーキテクチュア)
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室内の案内表示(写真:日経アーキテクチュア)
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空調のダクトも未来的なデザインだ(写真:日経アーキテクチュア)
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 アンドリュー氏の生年から計算してみて驚いたのだが、このターミナル1が開港した1974年には、アンドリュー氏はまだ36歳だった。

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