無名だった坂倉準三が1937年に「パリ万国博覧会日本館」の設計で建築部門グランプリを受賞し世界的名声を得るなど、日本とフランスの建築界は深い関係にある。2018年は日仏友好160周年。記念企画の一環として10月10日から、パリの「ポンピドー・センター」で安藤忠雄展が始まった(展覧会の詳細はこちらの記事へ)。この建築展を機に、パリで日本人建築家が手掛けたプロジェクトや、パリで見るべき最新建築、今こそ改めて参考にしたい近代建築を30件リポートする。

 まずは日本人建築家がパリで手掛けた主なプロジェクトを竣工年順に見ていこう。

1.グラン・テクラン(丹下健三、1992年)

北西から見た外観。建物の軸線は広場の中心(北)を向いている(写真:日経アーキテクチュア)
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 「グラン・テクラン」は1992年、パリ市南東部のイタリア広場に完成した。設計は丹下健三・都市・建築設計研究所。映像センター、ショッピングセンター、ホテル、オフィスなどから成る大規模複合施設だ。

 この施設の設計は、1984年にジャック・シラク市長(当時)が特命で丹下健三氏に依頼した。

左に見える塔のデザインは「フィルム」をモチーフにしたという。なるほど、言われればそう見える。頂部のモビールのような彫刻は可動式だというが、見学した数時間では確認できず(写真:日経アーキテクチュア)
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 イタリア広場は直径200mほどの円形広場。丹下氏が設計したこのグラン・テクランの広場側の壁面は、広場の形をなぞるように弧を描いている。ファサードは門形の石張り部分と、アトリウムに面したガラス張り部分で構成される。「グラン・テクラン」という施設名称は、フランス語で「巨大な銀幕」の意味。ファサードは「銀幕」をイメージしたものだ。

アトリウム内。不整形な四角形の平面に、階段状の床が広がり、視覚的に変化に富んでいる。ディテールも繊細(写真:日経アーキテクチュア)
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石張り部分は、同時期に設計が進んだ東京都庁舎(1991年竣工)をほうふつとさせる(写真:日経アーキテクチュア)
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 アトリウム内も手の込んだデザインとなっており、じっくり見る価値がある。外から眺めるだけでなく、ぜひアトリウム内も見てほしい。巨匠に対して不遜な言い方になるが、日本人がパリの目抜き通りに設計したと聞いても、恥ずかしくない建築だ。

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