[事故の概要]
東京都渋谷区の首都高速中央環状線山手トンネル初台南出口付近で2010年7月、案内看板が落下した。開通から4カ月後の出来事だった。原因は看板を固定していたピンの強度不足。ピンのメーカーが実施した引き抜き抵抗力の試験結果を基に採用を決めたが、事故後の現地での実測結果は試験値より約4割低かった。首都高速道路会社は、看板をボルトで固定する方法に変更した。

[現場概要]
■名称=SJ11工区(4)~SJ32工区(外回り)トンネル内装工事、SJ11工区~SJ34工区標識柱他工事、SJ11工区~SJ34工区(1-2-1)トンネル照明その他電気設備工事 ■施工場所=東京都渋谷区元代々木町4 ■発注者=首都高速道路会社 ■施工者=鹿島・熊谷組・竹中土木JV(トンネル内装工事)、日本リーテック(案内看板取り付け用鉄枠設置工事)、東光電気工事・六興電気JV(内照式案内看板工事) ■工期=2006年7月~10年2月(トンネル内装工事)、09年1月~10年3月(案内看板取り付け用鉄枠設置工事)、05年1月~10年5月(内照式案内看板工事) ■工事費=39億9633万3600円(トンネル内装工事)、3億9795万円(案内看板取り付け用鉄枠設置工事)、24億7951万2000円(内照式案内看板工事)

落下した案内看板。この道路は事故の4カ月前に開通したばかりだった(写真:首都高速道路会社)
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案内看板は、取り付け用の鉄枠を含めて重さが1.6t。直径4.5mmのピン20本でトンネルのセグメントに固定してあった(写真:首都高速道路会社)
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 事故発生は2010年7月16日午前2時45分ごろで、案内看板は取り付け金具とともに本線上に落下した。トンネル内をモニターで監視していた首都高速道路会社の社員が発見した。深夜で交通量が少なく、通行車両などへの被害はなかった。

 落下した看板は、幅4.5m、高さ1.7m、厚さ0.55mで、重さが1.6t。ダクタイル鋳鉄製のセグメントにステンレス製のピン20本を打ち込んで取り付け用の鉄枠を固定していたが、その全てが抜け落ちていた。ピンは直径4.5mmで長さは21.3mm。施工時には、まずセグメントに直径4mm、深さ7mmの下穴を開け、次にピンをびょう打ち機で4.5mm以上の深さまで打ち込んで鉄枠を固定することになっていた。

トンネル天井部の取り付け箇所。チョークの白丸で囲んである部分がピンを打ち込んであった穴。事故後の調査で、施工上の不具合は見つからなかった(写真:首都高速道路会社)
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看板を固定していたピン(右)と再発防止策で採用したボルト(左)。ピンは直径4.5mm、長さ21.3mm。ボルトは軸の直径が16mm、長さが80mmだ(写真:首都高速道路会社)
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落下した案内看板の概要(資料:首都高速道路会社)
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 首都高が看板の設置に打ち込み式ピンを採用したのは初めてだった。施工性が良いことなどを理由に施工者が提案し、首都高が承認した。ピンのメーカーの引き抜き試験結果を基に安全だと判断した。独自の検証は実施していなかった。

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