[事故の概要]
佐賀県唐津市内を流れる松浦川の堤防で、延長約160mに及ぶ範囲で背後の斜面に亀裂や法崩れなどの変状が生じた。直前に実施した補強工事での締め固め不足が原因と判明。発注者の求めに応じて、施工者は全額負担で補修工事を実施した。

[現場概要]
■名称=松浦川下流堤防補強外工事 ■施工場所=佐賀県唐津市原地先ほか ■発注者=国土交通省九州地方整備局武雄河川事務所 ■施工者=祐徳建設興業 ■工期=2013年2月~6月 ■工費=1億38万円(最終)

法崩れが起きた箇所。締め固めが不十分だったため、延長約160mの範囲で表層部が所々、ずり落ちた(写真:国土交通省武雄河川事務所)
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崩れた箇所の上端部分の断面状況。盛り土の一部がえぐりとられてオーバーハングになっている(写真:国土交通省武雄河川事務所)
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 佐賀県唐津市内を流れる松浦川で2013年6月、堤防背後の斜面の一部に亀裂や法崩れなどの変状が生じた。変状は唐津湾の河口から4kmほど上流の右岸側堤防裏斜面で幅約160m、縦4~5mの範囲に発生。亀裂が生じたり、厚さ50cm程度の表層部がずり落ちて斜面下部がはらみ出したりしていた。人的被害や、堤防上の構造物などの物的被害はなかった。

 変状の発生は6月24日、松浦川を管理する国土交通省九州地方整備局武雄河川事務所に入った通報で分かった。

 同事務所は、まず現場の状況を確認し、斜面全体をブルーシートで覆う応急措置を講じた。21日まで降っていた強い雨の影響も考えられたが、原因の究明に向けて、28日から佐賀大学の岩尾雄四郎名誉教授と渡邉訓甫名誉教授の協力を得ながら、現場の地盤状況などを調査した。

 変状発生箇所と健全な箇所でトレンチ調査と密度試験を実施してみると、変状が発生していない箇所の締め固め度が90%程度だったのに対して、変状発生箇所の表層部は同85%未満と、河川堤防に求められる値に達していないことが判明。変状発生の10日ほど前まで現場で行われていた堤防補強工事と関係がある疑いが濃くなった。

 この工事は、武雄河川事務所が発注した「松浦川下流堤防補強外工事」。右岸堤防沿いに延長324mの範囲で、堤防背後の斜面にドレーンを設置し、川岸側斜面に腹付け盛り土などを施す内容だ。

 工期は13年2月~6月で、祐徳建設興業(佐賀市)が施工。変状は同工事の工区で上流側の半分に当たるエリアで発生した。武雄河川事務所が施工者に聞き取りをしたところ、変状が発生した上流側と異状がなかった下流側とでは、盛り土の施工法が若干、異なっていたことが判明した。

「松浦川下流堤防補強外工事」の概要と堤防裏斜面の法崩れが起きた位置(平面図)。国土交通省武雄河川事務所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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ドレーン施工箇所の概要(断面図)。国土交通省武雄河川事務所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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堤防裏斜面の法崩れの状況。盛り土の上端部(既存堤防と施工箇所との境界)から雨水が盛り土内部に浸透し、締め固めが十分でなかった表層部が湿潤状態になり法崩れが発生した。図は、変状が最もひどかった箇所の断面図。国土交通省武雄河川事務所の資料を基に日経コンストラクションが作成
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