第5回では、CASE対応のR&D組織・プロセスを検討し、設計開発組織を取り巻く環境の変化を整理した。CASE時代に世界市場での戦いが求められるモビリティーサプライヤーにとって、高い付加価値を生み出す独自のポジションを構築するには、商材のシステム化、及びソリューション提案が重要になる。第6回の本稿では、システム化、ソリューション提案の重要性を振り返りながら、その実現に向けた押さえどころを示す。

 CASE時代における車両は、完成車メーカー(OEM)が得意としてきた車両のコンセプト設計に基づくハードウエア(HW)のすり合わせ、ソフトウエア(SW)の統合による走行機能の実現のみならず、電動化対応技術や「車車間」通信システム、「路車間」通信システムの構築、自動運転技術や自動運転時における快適な車内空間の実現に向けた空間構成要素の高次制御・インフォテインメントの実装、車両サービスプラットフォーム(PF)との連携などが求められる。その結果、OEMとしての企画・開発範囲が指数関数的に増加している。

システム化・ソリューション提案の重要性

 この動きに付随して、自動車部品メーカー(サプライヤー)の役割は、ティア1であれティア2であれ、従来の車両の走行機能改善に根差したものから、より複雑かつ高次な機能実装に向けて多様な部品機能を統合する「システム化」の他、OEMやティア1が対応しきれない企画・開発リソースを補うための「ソリューション提案」の展開がより重要となってきている。

 ここでシステム化とソリューション提案を定義しておく。システム化とは、単体の製品供給から物理的・機能的に接合界面を有する機能部品を取り込み、より複雑度を高めて複合機能部品化することである。ソリューション提案は、未知の顧客ニーズをつかみ、提案型で解決策を提示することと定義する。

 システム化とソリューション提案は複合的に発生することもあり、顧客ニーズを踏まえて新たな複合機能部品を提案することがそれにあたる。それぞれが独立に発生することもあり、既知の顧客ニーズに対して複合機能部品化を進める場合もあれば、単機能部品でも未知のニーズをつかみ、ソリューション提案を行う場合もある。

 CASE対応に加えて、世界市場での戦いの重要性が増す中で、世界各地の地場プレーヤーとの差異化に向けて、システム化・ソリューション化による価値の取り込みの切り口を持つことも重要になってきている。部品単体のコア技術を磨き、コンピタンスを強化していくことは重要な差異化の切り口ではあるが、近い将来、機能向上の要求の変化が乏しくなるとコスト競争へと落ち込み、日系サプライヤーの不得意な戦いになる。

 各プレーヤーの置かれた事業の競争のルール、換言すれば対象商材の成熟度によって、システム化・ソリューション提案の検討重要度は異なるが、永続的に機能向上の要求が続くものは限られることを踏まえると、中長期的な事業の視点としてシステム化・ソリューション化は意識せざるを得ないだろう。

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