自動車業界でCASE(コネクテッド、自動化、シェアリング、電動化)対応が喫緊の課題となり、ドイツ・ダイムラー(Daimler)が重要な次世代技術のフレームワークとして2016年にCASEを唱えてから2年が過ぎた。部品メーカー(サプライヤー)は具体的に、CASEにどう対応すればよいのか。そのためには、研究開発(R&D)の組織とプロセスを変革していかねばならない。第5回となる今回は、CASE対応のR&D組織・プロセスを検討する。まずは、設計開発組織を取り巻く環境の変化を整理する。

 近年の自動車設計・開発への要求の変化は、大きく分けて2つ存在すると考えられる。1つめは、新たに加わった機能要求への対応である。コネクテッド、自動運転、シェアリングに代表される要求機能の増大と電動パワートレーンの拡大は、極めて深刻な課題を提示している。

自動車開発への新たな要求

 現在、車載向けソフトウエア開発は2次関数的なボリューム増大を示しており、過去10年でソフトウエアの総ソースは150倍に増えた。開発を効率化しても工数は60倍に拡大している。それでもCASE対応に伴い、開発すべきソフトウエア機能量の大幅な増大も予測されている。

 さらに新領域においては、GAFA(グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾン)に代表される開発生産性でもリソースでも圧倒的なIT企業の参入が予想される。効率化の他、協力したり合併したりといった対応を掲げている会社もあるが、100倍の開発生産性が要求され得る将来環境において、現状の延長に解はない点をまず理解しなければならない(図1)。

図1 クルマの設計開発に関する要求の変化
コネクテッド、自動運転などによるクルマのデジタル・サービス化に伴い、ソフトウエアの増加がさらに加速する。
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 2つめの変化は、従来性能の要求が高度化していることである。エミッション(大気汚染物質)や燃費、衝突安全は規制強化が続いている。既存製品を抱える現在の自動車業界の有力プレーヤーが電気自動車(EV)に全面移行するには、高エネルギー・高出力密度を備えたバッテリーの要素技術の確立が必要である。

 だが、それには時間が必要であり、従来の内燃機関とそれを前提とした各種技術の開発は依然として重要である。CASE対応で搭載するデバイスが増大しても、コストや質量、快適性といった要求が弱まるわけではなく、むしろ過去のクルマ以上の性能をユーザーは期待している。

 さらに性能の向上によって、過去には問題がなかった事象が開発課題となりつつある。例えば、エンジンの燃焼効率が向上した結果、排熱不足による暖房能力が低下。これまでは「始動後X分で冷却水X度を達成」すればよかったが、現在では熱エネルギーをどこにどれだけ配分するかをシビアに求められる事態になっている。

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