連載の第3回では、CASE時代に世界市場で勝ち抜くために日系部品サプライヤー(以下、日系サプライヤー)が抱える経営課題を体系的に整理し、その解決の糸口を探った。今回は、日系サプライヤーのこれまでのR&D体制の成り立ちとCASEトレンド踏まえて、今後求められる変化とそこで重要になるプロジェクトマネジメントの在り方について、現状の課題と今後の方向性を探る。

サプライヤーのR&D体制の成り立ち

 まず、日系サプライヤーのこれまでのR&D体制を、欧米系と比較してみる。これまで、基本的に完成車メーカー(以下、OEM)をピラミッドの頂点にした系列(垂直統合)関係の中で仕事をしていたため、日系サプライヤーはOEMが決めた仕様を設計/製造することを主としてきた。

 これは、日本の自動車産業がOEMのイニシアチブで成長してきた中で築かれた関係性の特徴だ。この体制でサプライヤーに要求される能力は、OEMの仕様を低コストで設計/製造する能力と、OEMの日程変更に着実に対応する能力である(図1)。

図1 現状のR&D体制の傾向
出所:ADL分析
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 一方、欧米系サプライヤーのR&D体制の特徴は、OEMと対等な関係の中で自らシステム/部品提案を実施し、それを認めさせることで、OEMとの双方向の開発プロセスの中で自社製品を開発する関係性になっている。この関係性では、システム/部品の提案力や新技術の開発能力が要求される。

 特定のOEMとの関係を中心に活動してきた日系サプライヤーは、重要な開発を基本的に日本国内の自社拠点で実施してきた。日系OEM各社がこれまで日本国内で主な開発業務のほとんどを実施してきたため、物理的な距離を含め重要な関連性の中では必然であった。また、組織ではOEMの各機能(R&Dや生産、購買など)とのリレーション(プロセスやヒト)が重要視されるため、機能軸を中心とした体制となっていた。

 これに対して欧米系サプライヤーは、サプライヤー自身が開発を主導しているため、OEMの開発場所への近接性を日系サプライヤーほど必要としない。各社の事業目的に最適化されたR&Dの地域体制となっている(例えば、ドイツ勢などがソフトウエアの開発拠点をインドに集約しているなど)。

 このように、過去のOEMとの関係性から日系と欧州系ではR&Dの体制が大きく異なること分かる。それでは、CASEを含めた新技術潮流の中で今後、日系サプライヤーはどのようなR&D体制を整えるべきなのだろうか。

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