連載の第1回では、CASEトレンドの影響とサプライヤーとしての勝ちシナリオを論じた。世界市場で勝ち抜くには、各地域における完成車メーカー(OEM)とサプライヤーの関係性をひも解き、各地域固有の産業構造とその変化動向を見据えた戦略的ポジショニングの形成が求められる。第2回では、地域別のサプライチェーン構造を欧州と中国を中心に分析する。さらに日系サプライヤーの戦い方を、ケイレツ構造維持の是非にも焦点を当てて考察する。

 日本における自動車産業や自動車部品産業は、産業競争力強化に向けてOEMを頂点としたケイレツによる垂直統合化を進め、OEMの要請や将来ニーズを予測しながらケイレツ会社間で役割分担を行い、部品・車両の競争力を高める戦い方をしてきた。

垂直統合を進めた日本、水平分業を進めた欧州

 その最大の利点は、サプライヤーにとって出口となる大口市場が確約されることにある。不確実性を排除し、見通しの立てやすい事業構造の中で、過度にリスクをいとわずに研究開発を進めることで部品産業の競争力は高まり、その部品を活用して車体としての魅力を打ち出すことでOEMも競争力を維持できていた。

 一方、海外では必ずしもケイレツによる垂直統合型の産業形成を前提としていない。特に欧州では、顧客構造や産業形成における歴史的な違いもあり、水平分業が進んでいる(図1)。

図1 日本と欧州におけるOEMとティア1の納入関係
(出所:ADL分析)
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 欧州ではOEM、ティア1、ティア2サプライヤー間のひも付き関係は緩やかである。OEMの設計する車体コンセプトに対して最適なソリューションを持つティア1サプライヤーが採用され、ティア2サプライヤーもティア1サプライヤーの要望に対して最適な提案ができるプレーヤーが採用される。

 このような産業構造に至った背景には、OEMのシェア構造の違い、OEMの車体開発・調達方針における考え方の違い、ティア1、ティア2サプライヤー勃興の背景の違いが大きく影響している。

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