「現地密着型開発」が功を奏し、新興国でダイキン工業の製品が売れている。市場に近い所で顧客ニーズを吸収し、現地の開発陣が主体となって製品を開発設計する方法だ。米中貿易戦争の勃発後、中国に次ぐ巨大市場としての成長が期待されるインド市場でも、同社はこの戦略を貫く。成功を収める「インド設計」の詳細を同社は日経 xTECHに明らかにした。

 開発拠点の現地化──。インドで製品を売るために、ダイキン工業が採った方法がこれだ。2016年6月、同社はインドに研究開発センターDaikin Airconditioning India R&D Centreを立ち上げた(図1)。場所は、インド北部のラジャスタン州・ニムラナ工場の隣接地だ。従来、設計部は同工場内に併設されていたが、あえて研究開発拠点として独立させたのだ。インド市場向けの製品設計「インド設計」を本格的に展開するためである。

図1 インドの研究開発センター
インド市場のニーズを満たす製品を設計する拠点として立ち上げた。(写真:日経 xTECH)
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 開発拠点をインドで立ち上げたのは、同社が進める「現地密着型開発」の一環だ。これにより、品質やコスト(価格)、機能に関してインド市場のニーズを満たす製品を開発・設計できる確率を高めるのだ。

 インドの研究開発センターを率いるDaikin Airconditioning India R&D Centre Head-R&Dの永守朗氏は、開発拠点の現地化で得られるメリットは3つあると語る。[1]設計者の理解度の向上、[2]市場環境の再現性の向上、[3]コスト削減、である(図2)。

図2 設計拠点の現地化のメリット
設計者が現地にいることで情報収集や判断、移動などに優位点が生まれ、これら3つの利点が得られる。(作成:日経 xTECH)
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 [1]の設計者の理解度の向上とは、インド市場をより深く理解できるということだ。設計者が現地にいるため、その地のさまざまな事情や情報を“鮮度”良く吸収できるからだ。何かあれば、すぐに現場に行って確認することも可能である。

 [2]の市場環境の再現性の向上は、設計品質を高めるのに生きる。販売済みの製品が故障した際に原因を解明するには、その製品が使われた市場環境を再現しなければならない。実験室で同じ環境を作り出し、故障につながる同一の現象を見つけ出して、初めて原因とそれを防ぐ設計の改善策が分かるのだ。インドで壊れた製品の市場環境の再現は、設計者が現地にいた方が実現しやすい。

 [3]のコスト削減は、部品の現地調達を加速させて原価を低減できるということだ。インドで造る製品は、基本的に現地の部品を使わなければコスト削減が進まない。だが、インドメーカーの部品の品質には「ばらつき」があるというのが現実だ。使える部品かそうではないかを評価するために、いちいち日本に運んで評価する方法では、部品が使えるのが1~2年後と遅くなる。そこで、現地の設計者が部品の評価と現地メーカーの指導を行えば、コスト削減を素早く進めていくことが可能になるのである。

 では、この研究開発センターが進めている、現地のニーズを織り込んだインド設計の具体例を見ていこう。

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