2019年3月期(2018年度)の決算で、6期連続となる過去最高の売上高と営業利益の更新を実現したダイキン工業。成長源は海外、中でも新興国市場の伸びが同社の好業績を支えている。そうした新興国の中でも、特にめざましい成長を見せているのがインド市場だ。同社にとってインドは最重要戦略拠点。売り上げが急伸している上に、普及率がまだまだ低いため、中国、米国に次ぐ巨大市場への発展が期待できるからだ。ダイキン工業はインド市場をどのように攻略しているのか、4回にわたってその取り組みに迫る。まずはインド工場を見ていこう。

 ダイキン工業の成長のエンジンである海外。中でも、驚異的な成長を見せるのがインド市場だ。それを象徴する1枚の写真がある。同社のインド工場内を写したものだ(図1)。一見、だだっ広いスペースがムダに空いており、閑散としているかのように思える。だが、これこそがインド市場活況の証しだ。このスペースは、近い将来に同社が増設する生産ラインのための空間だからである。

図1 インド工場の内部
ダイキン工業が2017年にニムラナに新設した第2工場内を撮影。家庭用エアコンと店舗向けエアコンの室外機を生産する。一見ムダに思えるスペースは、未来の生産ラインの設置スペース。(写真:日経 xTECH)
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 この工場は、インド北部ラジャスタン州ニムラナにあるニムラナ工場。首都デリー(ニューデリー)から120km、外資系企業が集中する新興都市グルガオンから90km離れた場所にある(図2)。主に大型の業務用エアコンを生産する第1工場と、主に家庭用エアコンを生産する第2工場に分かれており、先の写真(図1)は第2工場の内部である。このスペースは家庭用エアコンの生産ラインで埋まる予定だ。

図2 ニムラナ工場
インド北部のラジャスタン州ニムラナ日本企業専用工業団地内にある。デリーからクルマで2時間弱、グルガオンから1時間半程度かかる。(作成:日経 xTECH)
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 現在、第2工場では生産能力が年間50万台の生産ラインが1セット(室外機と室内機の両生産ラインを合わせたもの)稼働している。ここに、2019年6~7月頃をめどに1セットの、同年12月~2020年1月頃をめどにさらに1セットの生産ラインをダイキン工業は新設する計画だ(図3)。少々ややこしいが、今は第1工場にある従来の生産ラインで1セット分の50万台を生産しているため、現時点ではニムラナ工場全体で年間100万台の生産能力を持っている*1。今後はこの第1工場の古い生産ラインを廃棄し、年間50万台分の生産を第2工場の新設ラインで行う。こうして、第2工場だけで家庭用エアコンを造る形に移行し、2020年初めにはニムラナ工場で家庭用エアコンの生産台数を年間150万台まで増やす計画だ。

図3 ニムラナ第2工場の生産ラインの設置計画
2020年1月頃までに家庭用エアコンの生産ラインを2セット新設する予定。このうち1セットは第1工場からの移転のため、ニムラナ工場全体で家庭用エアコンの増産分は1セット分の年間50万台となる。(作成:日経 xTECH)
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*1 ダイキン工業は第1工場を2009年に設立し、超大型の水冷チラーから大型のビル用マルチエアコン、家庭用エアコンまで幅広く造っている。インド市場の成長に伴い、同社は2017年に第2工場を設立した。今後は、部品供給の整流化や、組み立て時間の差による運営上の不具合を改善するために、第1工場で超大型・大型製品を、第2工場で中・小型製品を造るように再配置する考え。

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