世界各地の顧客ニーズを吸収した製品を開発する──。顧客視点で当然のことをきちんとやり遂げているのが、ダイキン工業の開発の特徴だ。だが、これを実行するのは意外に難しい。世界中の幅広い顧客ニーズに応えるには、膨大な種類の製品を開発しなければならない。その全てをいちから開発していては開発リソースが足りない。限られた開発リソースの中で「超多品種開発」を可能にする同社の切り札がモジュラーデザイン「ベースモデル開発」である。

 なぜ、ダイキン工業は世界で売れる製品を開発できるのか。この問いに対する最もシンプルで説得力のある回答は、「世界の各市場の顧客ニーズをうまく吸収して製品を開発しているから」。これは製造業としては当然な一方で、なかなか実現が難しい。難しい理由は2つが考えられる。[1]世界の各市場の顧客ニーズを把握できていない、[2]膨大な種類の製品を開発するリソースがない、である。先に結論を言えば、ダイキン工業はこれら2つの課題をクリアした。

 世界の各市場の顧客ニーズをうまく把握するために、ダイキン工業は現在「現地密着型開発」と呼ぶ開発戦略を掲げている(図1)。一言で言えば、開発の現地化だ。生産において、顧客の近くで製品を造る「市場最寄化(もよりか)生産」の考えを同社が貫いていることは既に紹介した。現地密着型開発はその開発版だ。すなわち、市場に近い所で顧客ニーズを吸収し、現地の開発陣が主体となって製品を開発する方法である。

図1 ダイキン工業が掲げる開発戦略「現地密着型開発」
世界中に10の開発拠点を設置。現地で製品を開発し、できる限り短いリードタイムで販売を開始する。(作成:日経 xTECH)
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 今でこそうまくいっているものの、同社が初めからこの方法を採っていたわけではない。この現地密着型開発は、過去の失敗から編み出したものだ。

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