この17年で売り上げを4倍超に伸ばしたダイキン工業。足元の業績も好調だ。“老舗”の大企業がここまでの成長を見せるのは珍しい。この成長を支えるのは、強い販売力だ。強豪がひしめくエアコン業界で、どのように販売力を高めているのか。その秘密をダイキン工業代表取締役社長兼CEOの十河政則氏に聞いた。

17年で売り上げ4倍超。直近の空調事業の売上高計画を見ても、2017年度から2020年度にかけて世界の全地域で売り上げを伸ばす計画を立てています。なぜ、ここまで売れるのでしょうか。

十河氏:もちろん、競合他社に対する「差異化商品」があるからですが、それだけでは売れません。やはり、販売力がないとダメでしょう。我々は世界の各市場で強い販売店網を構築してきました。例えば、インド市場は猛烈に伸びてシェアでトップに立ちました。これも販売店網づくりに力を入れた結果です。我々の製品の良さを分かった上で扱ってくれて、かつ儲かるような販売店開発がとても重要なのです。

 日本市場では、我々は自前の販売会社を全国に10社持っています。その販売会社の下に、ダイキン工業の製品だけを扱う特約店があります。こうした店舗をどれくらいつくっていくかが大切です。これを我々はとにかく地道にやってきました。販売店開発はとても一気にできるものではありません。

 家庭用エアコンと比べると、業務用エアコンはしっかりとしたエンジニアリング力や提案力などがないと売れません。そのためには、我々が販売店側に指導や支援を行う必要があります。どれだけコツコツやるかが勝負で、我々はそれを全世界で展開してきました。これが今、グローバルの販売店網としてダイキン工業の強みとなっています。

ダイキン工業 代表取締役社長 兼 CEO 十河 政則氏
(撮影:山本尚侍)

売る仕組みをつくるのは製品を開発する以上に難しいと言われます。しかも、海外の販売店網となると一筋縄ではいかなそうです。

十河氏:業務用エアコンや、住宅用でもマルチエアコン(1台の室外機で複数台の室内機に接続するエアコン)を売るには、やはり販売店開発が重要になります。我々が中国市場になぜ強いかといえば、やはり、販売店開発に汗を流したからだと言えます。

 我々は中国市場に業務用エアコンから入りましたが、今は住宅用マルチエアコンが稼ぎ頭になっています。低価格のボリュームゾーンには手を出しません。儲からないからです。そのため、「高級品のゾーンだけを攻めろ」と言っています。こうした価格の高い住宅用マルチエアコンを販売しようとすると、やはりしかるべき販売店を構えなければならない。そして、エンジニアリング力や提案力が重要であるときちんと理解し、実践に移せる販売店をどれくらい開発するかが勝負どころです。口にするのは簡単ですが、これにはものすごく時間がかかります。

 競合他社はダイキン工業が住宅用マルチエアコンで儲かっていると知り、ここに参入したいと思っているようです。しかし、そのための販売店づくりは簡単ではありません。販売ノウハウや販売支援力がないとできないからです。営業力や据え付け(工事)力、そして提案力を備えた販売店になるように支援する必要があるのです。

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