好業績を続けるダイキン工業が、国内で25年ぶりにエアコンの新工場を建設し、2018年6月から業務用エアコン「VRV-X」と「同A」シリーズの量産を開始した。だが、同社の成長源は明らかに海外市場。日本市場は横ばいどころか、今後は縮小市場に陥る可能性が高い。ダイキン工業は、なぜ、今さら日本に新工場を造るなどというリスクの大きな選択をしたのか。

 過去17年で売上高を4倍以上に伸ばし、リーマン・ショック後の2010年度から8期連続の増収・増益を続ける日本のものづくり企業がある。ダイキン工業だ(図1)。1924年に創業して90年を超える歴史を持ち、現在(2017年度)の売上高が2兆2906億円にも達する“老舗”の大企業である。創業間もないベンチャー企業ならともかく、歴史が古く売り上げ規模がもともと大きな企業で、ここまでの成長を見せる企業は珍しい。

図1 ダイキン工業の売り上げの推移
リーマン・ショックの一時期を除き、2000年以降に売り上げが急伸している。2018年度(2019年3月期)も伸びる計画で、6期連続の過去最高売り上げを見込む。
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 注目すべきは、ダイキン工業の成長の源だ。2000年度を見ると、売上高の比率は日本が74%で海外は26%だった。これに対し、2017年度の同比率は日本が21%で海外は79%となっている。日本と海外で売上高比率が見事に逆転しているのだ。しかも、日本市場の売上高はこの17年でそれほど増えていない。言うまでもなく、同社は海外で稼ぎ、企業の成長に結び付けているのである。

 世界には中国やインド、ベトナムなど、エアコンの販売台数が大きく伸びている成長市場がある。ダイキン工業はそうした成長市場に積極的に進出し、販売台数を飛躍的に増やしてきた。一方で、日本市場ではもはやエアコンの販売台数の大きな伸びを期待できない。むしろ、少子高齢化が一層加速し、10年前の2008年に既に人口がピークアウトしていることを踏まえると、今後は縮小市場に向かうと言っても過言ではないだろう。

 ところが、ダイキン工業は“理解不能”な行動に出た。非成長市場の日本に新工場「堺製作所 臨海工場 新1号工場」(堺市)を建設し、2018年6月18日から稼働を開始したのだ(図2)。業務用エアコン(ビル用マルチエアコン)の室外機を1年間で6万台造る計画である(図3*1。縮小する日本に今さら新工場を造るなんて無謀だ──。そんな声すら聞こえてきそうな動きである。

図2 新工場「堺製作所 臨海工場 新1号工場」の外観
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図3 業務用エアコン「VRV-X」シリーズ
2018年6月から新工場で生産を開始した。業界最高水準の省エネ性を実現する他、オフィスなどの大空間でも温度と湿度、換気量を1台の空調コントローラーで一元管理できる特徴を備える。
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 なぜ、同社は日本に新工場を建てたのか。

*1 室内機は金岡工場と滋賀製作所(滋賀工場)で生産する。

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