仮想通貨業界で世界的な地殻変動が起きている。かつて仮想通貨取引やマイニングの総本山だった中国は規制を強化。その後、ビットコイン取引額で世界一となった日本も、取引所での巨額流出事件をきっかけに振興モードは沈静化しつつある。そうした中、新たに台頭し始めた国がある。中国と国境を接するモンゴルだ。

 人口300万人の小国モンゴルに、仮想通貨の波が押し寄せている。2000年代以降、石炭や銅の鉱山が新たに発見されたモンゴルに、鉱山ブームが到来した。そして現在、多くの人は、仮想通貨こそが天然資源に続く新しい“宝の山”だとして群がっている。

 モンゴルの大手商業銀行TDB(モンゴル貿易開発銀行)傘下で鉱山機械などのリース事業を担うTDBリース。藤本和久CEO(最高経営責任者)も、仮想通貨のマイニング(採掘)に熱視線を注ぐ。2018年8月22日、日本とモンゴルでマイニングマシンの販売や運用代行を手掛けるGinco Mongolとアライアンスを締結。年内にも、モンゴルの個人投資家を対象にリース事業に乗り出す考えだ。

 丸紅社員としてウランバートルに駐在していた藤本氏は2000年代後半、建機メーカーが盛んに進出してくると予想。「リース事業が面白くなる」(藤本氏)と考え、日本側に提案を持ちかけた。藤本氏の提案がきっかけで2013年、三井住友ファイナンス&リースと丸紅が共同出資するエムジーリースとモンゴルTDBによる合弁会社TDBリースの設立につながった。

モンゴルの首都ウランバートルの景色
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 ただし、鉱山の採掘量には浮き沈みがある。鉱山機械リースの1本足打法からの脱却を志向し始めたTDBリースは、消費者向け自動車リースなどに進出。航空機も1機を所有するなど、リースサービスの多角化を進めてきた中で、仮想通貨に出会った。

 実際の鉱山採掘は採掘量にばらつきが出る上、貿易価格が激しく変動する。仮想通貨も価格変動がある点は同じだが、コンピュータリソースに応じて一定の採掘量が見込める。比較的安定した事業とみなすことも可能だ。

 新しいビジネスモデルを構築できる潜在力も秘めているという。一般的なリースでは精緻な与信審査が不可欠だ。例えば鉱山機械をリースしても、石炭を安定的に産出できる保証はない。リース先の事業が振るわず、期間の途中で代金を回収できなくなるリスクがつきまとう。

 一方、仮想通貨のマイニングマシンは稼働している限り仮想通貨が獲得できる。これを手数料に充てることができれば、リース手数料を取りっぱぐれる懸念を低減できる。リース先の企業や個人の信用力を問わず、サービスを展開できる可能性があるわけだ。

TDBリースの藤本和久CEO
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小国に押し寄せる仮想通貨の波

 モンゴル国内の仮想通貨ブームは熱を帯びるばかりだ。2017年10月には、同国初の仮想通貨取引所「Trade.mn」が開設した。10種類以上の仮想通貨をラインアップしており、ユーザー数は2万近く。同国の仮想通貨取引の85%を、同サイトが占めるという。

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