人気の理由には、手軽さや価格面だけでなく、ヘルスキーパーの「腕」と「雰囲気」が大きく影響している。そのヘルスキーパーの1人、同社Employee Experience部の塩井正雄氏は、10年間の鍼灸(しんきゅう)マッサージ院勤務を経てアドビ システムズに加わった。現在は、2室あるPITの1つを担当し、1日当たり5枠(1枠40~60分)の施術やカルテ入力管理業務などを担当している。

アドビ システムズ Employee Experience部 ヘルスキーパー 塩井正雄氏
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 塩井氏の「腕」については、実際に施術を受ける同社マーケティング本部 広報部 コミュニケーションズ マネージャーの坂田彩氏が「他の治療院では効かない重症の社員でも、塩井さんの力強いマッサージなら効果ありという声多数」と紹介するほどだ。「社員には、首・肩・腰、そして特に目を酷使している人が多い」(塩井氏)。各人の症状に応じて、適した施術を実施する。

 「腕」だけでなく、PITやヘルスキーパーの「雰囲気」も人気の理由だ。社員にとって、ヘルスキーパーは同じ会社の社員だが、業務的な利害関係がない。静かなPITでゆったりと施術を受けながら、気持ちもほぐされていく。「肩こりなど体の調子が悪いのを改善したいという人もいれば、気持ちをリフレッシュしたい人や会話を求めている人もいる」(塩井氏)。

アロマの香りがする室内で、マッサージ用のウエアに着替えて施術を受ける
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 塩井氏から会話を働きかけることはなく、施術を受ける社員が話しかけてきたらそれに応じる。デリケートなことやプライベートの話題にも、静かに耳を傾ける。塩井氏の仕事は「あくまでもフィジカル面のケア」(塩井氏)なので、精神面や業務面でアドバイスはしない。「良いとも悪いとも言わず、基本的には話を聞くだけ。それだけでも、少しはストレスの発散になるのではないかと思う。相手の話を分かって、共感することを大事にしている」(塩井氏)。

 身体面で異常を感じた場合は病院の診察を勧めたり、精神面で気になることがあれば人事部の担当者に伝えたりすることもある。「腰痛がひどい社員に大きな病院での診察を勧めたところ、深刻な病気が発見できた例もある」(塩井氏)。PITの人気ぶりを受けて、同社はヘルスキーパーの増員を計画している。

100万円を超えるスキル向上支援制度も

 アドビ システムズは、社員のスキル向上を支援する制度も充実させている。「教育援助制度」は、大学院または同社が認めた教育コースの修了証取得のために必要な授業料や教材費を年間最大111万8540円(グローバル制度で金額を設定しているため細かい数値になる。この金額は年度単位で見直す)援助する制度だ。

 より短期の研修費用を補助する「プロフェッショナルディベロップメント援助制度」もある。業務上必要だと上司が認めたスキル習得のための研修費用を補助するもので、受講費用を年間最大11万1854円援助する。

 なおどちらの制度も、上限金額の範囲内であれば、何度も研修を受けることが可能としている。

■変更履歴
記事公開当初、ヘルスキーパーを「正社員」と記述していましたが、正しくは「契約社員」です。お詫びして訂正します。本文は修正済みです。[2019/1/8 22:51]