「自分を見つめ直す時間に充てる」もあり

 サバティカル制度は、社員がキャリアを見つめ直す機会を設けるのが目的だ。2013年11月から運用を開始し、2018年2月までに92人が利用している。その多くは、留学や資格取得が目的だという。なお、制度の利用期間は最短で2カ月、最長で3カ月だが、支援金として給与1カ月分が支給され、休職期間に有給休暇を充てることも可能だ。

 勤続10年以上というベテラン社員が2~3カ月職場を不在にすることについて、天野氏は「制度を利用して戻ってきた社員が成長してモチベーションが上がっていれば、会社としてもプラス」と考えているという。

 同社の浜辺真紀子社長室長兼コーポレートエバンジェリストは、このサバティカル制度を利用した。期間は、就社18年目となった2017年の10月から12月まで2カ月間。浜辺氏は2000年の入社以来IR部門の責任者を務めてきたが、2017年の4月にその役職から離れてコーポレートエバンジェリストに異動になったタイミングで、「それまでできなかった自分のキャリアの見直しと、これまでの業務をまとめた書籍執筆のためにサバティカル制度を申請した」(浜辺氏)。

ヤフー 浜辺真紀子社長室長兼コーポレートエバンジェリスト
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 実際には、インドで日本企業の現地法人を支援する事業に携わっていた夫をサポートするため、浜辺氏もインドに渡って事業立ち上げに関わった。当初目的としていた書籍執筆の時間はなかなか取れなかったものの、それまでの18年間では接することがなかった、異なる業界の経営層や成長を続けるインドのVIPとの人脈を構築できた。

 「これまで知らなかった他業種に関する知見を得ることができ、予想もしていなかった形で自分が成長する機会を得た」(浜辺氏)と、サバティカル制度を振り返った。ちなみに同氏は、サバティカル休暇後に執筆作業を進め、2018年7月末に書籍(『ヤフージャパン 市場との対話』)は無事発行された。

 なお、職場を2カ月間離れる前には、4カ月前に申請してから上長と面談を重ねて業務に支障がないように調整した。業務の属人化を防ぐために、関係部署のメンバーと常に情報を共有化していたことで、調整が容易にできたという。「サバティカル制度だけでなく、介護休暇や育児休暇などの利用者が増えている中で、当社はこうした状況に対応できる体制ができていると、個人的には考えている」(浜辺氏)。

「育児支援」「女性活躍」などダイバーシティー活動も支援

 ヤフーは、社員が自発的に立ち上げたダイバーシティー活動を、会社として公式にサポートしている。同社では、「課題を解決する」という目的で、課題ごとに立ち上がった社員コミュニティーがある。2016年から、育児支援や女性活躍、LGBT対応に取り組んでいるグループに対して、活動資金などの支援と執行役員がアドバイザーとなって公的な活動ができる体制を整えた。

 同社は、支援しているグループの活動内容を把握するため、定期的に活動報告や活動方針の提出を求めている。「メンバーの思いは大事にしたい。本人たちの課題解決に向けた期待感を醸成するように、活動を支援していきたい」と、ピープル・デベロップメント統括本部カンパニーPD本部PD企画部の大内礼子組織活性担当は語る。

ヤフー ピープル・デベロップメント統括本部カンパニーPD本部PD企画部の大内礼子組織活性担当
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