検索サイトの草分け「Yahoo! JAPAN」を運営するヤフーは、福利厚生の手厚さでも有名だ。従業員数は6330人、男女比は6対4、平均年齢は35~6歳(2018年8月時点)。人数は20歳代、30歳代、40歳代で大きな山があり、50歳代以上はかなり少ない。ただし平均勤続年数は伸びていて、平均年齢はじわじわと上がっているという。半数の社員が結婚しており、子供がいる社員は約2000人、未就学児がいる社員は1400人ほどだという(2017年11月時点)。

 同社の福利厚生制度は、2016年に当時の宮坂学社長が打ち出した方針、「安心、安全、豊かさ」の実現が根幹にある。これは、同社の人材育成の土台となる概念でもあり、職場環境に置き換えると「安心して働ける職場、災害被害やハラスメントがない心身ともに安全な職場、十分な給与所得がある職場」になる。

 ちなみに、「安心、安全、豊かさ」の先にある細目は、人材育成においては「才能と情熱を解き放つ」「社会への貢献」だが、それらは「安心、安全、豊かさが実現されて可能になる」(同社ピープル・デベロップメント統括本部カンパニーPD本部PD企画部ER企画の天野辰郎リーダー)という。「才能と情熱を解き放とうとしても、そもそもハラスメントがまん延している職場では、挑戦どころか自己防衛に向かってしまう」(同)。

ヤフー ピープル・デベロップメント統括本部カンパニーPD本部PD企画部ER企画の天野辰郎リーダー
(撮影:皆木 優子、以下同じ)
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 ヤフーは、福利厚生制度に対しても、効果を評価した上で導入・運用していく。「数値目標ベースの評価は難しいが、定量的な効果測定が可能な制度については可能な限り期待した効果が出ているかを評価して、制度を改善していく。ただし、費用対効果という視点で、福利厚生制度を評価することは少ない」と天野氏は言う。

 同社は、2016年に本社オフィスを現在の千代田区紀尾井町に移転し、社員食堂や仮眠スペースなど福利厚生設備をより充実させている。移転以前にも制度面での取り組みを進めており、勤続10年を超えた社員に2~3カ月の休暇を与える「サバティカル制度」や、専門性の高い学術的知見を得るために留学するといった目的で最長2年間の休職を認める「勉学休職制度」を導入した。

千代田区紀尾井町にあるヤフー本社
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同社オフィスの一画
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 加えて、それぞれの社員が最もパフォーマンスを発揮できる場所で働ける、リモートワーク制度を運用。それまで「ボランティア休暇」と呼んでいた制度を拡充し、2013年から「課題解決休暇」と名称を変えて、より広い目的に対応した。同社広報室の宮下健太郎氏によると、利用者は「じわじわと増えている」という。

 このようなタイプの休暇休職制度を設ける背景として天野氏は、人事制度における重要な考えに「経験学習」があることを挙げている。「社会人にとって一番大きな学びを得るのは経験学習。仕事で得ることができない経験は、一人の社会人としての成長につながるばかりでなく、その人のパフォーマンスを大きく引き上げる」(天野氏)