研修セミナーは当初休職者向けだったが、経験者が登壇して体験を話すこともあって好評で、「これからの自分に当てはまるロールモデルに参考になる」(田中氏)ということから、休職する前に受けたかったという要望が多く寄せられた。現在では、休職予定者も受けられるようになった。社内報で取り上げる休職者向けコンテンツは、業務に関連したeラーニングだけでなく保育園の探し方といった生活情報まで網羅している。

 また、社員に出産や子育てを経験したり、出産間近、育児中という同じ経験を一緒にしている社員が多くいることから、プライベートなコミュニティで相談しあえる雰囲気があることも、とても助かるという。「休職中も会社とつながっていたいう気持ちがある。そういう意味でeラーニング制度や情報提供はありがたかった」(田中氏)

 このような「社内の雰囲気づくり」「社員の理解促進」において、大きく影響しているのが、「企業トップからのメッセージ」と菱山氏は語る。

 NTTコミュニケーションズでは各種休職制度に限らず、リモートワークやフレックスタイムの全社展開を進めてきているが、社内における意識浸透が課題だった。そのため、フレックスタイムの導入ではまず1年がかりでトライアル運用を実施し、そのフィードバックを元に制度や運用を改善。さらには、導入に反発する意見に対して、「これからは時間に縛られず効率的に働く意識が必要」というメッセージをトップが繰り返し発信することで、だんだん変わっていったという。

 加えて、ただ「効率的に」と訴えるだけでなく、不必要な業務の廃止や業務の自動化ツールの開発と導入といった実効性のある対策を現場の声を反映しつつ実施することで、制度の導入と意識改革を実現したという。

 なお、業務効率化で問題になる「社員それぞれの業務量」については、担当の管理職が業務量を調整することで、特定社員への集中を解消するとともに、多くの社員が休暇を取得できるようにしている。1年間に20日間が付与されるが、実際に多くの社員がすべて使っているという。

 同社では、働き方改革に沿ったサテライトオフィスの借り上げも実施している。この制度は営業部門の社員からの要望に応える形で設立したもの。客先と自社との移動時間を節約でき、その時間を有効活用するのが目的だ。コワーキングスペースやシェアオフィス、時間貸しのレンタスルームの業者と契約して、リモートワークを希望する社員がその都度利用できるようにしている。

同社が契約するシェアオフィス「ワークスタイリング 八重洲」
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「ワークスタイリング 八重洲」の室内風景
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 現在、三井不動産のシェアオフィスサービス「ワークスタイリング」、ザイマックスのサテライトオフィス「ちょくちょく」、第一興商の「ビッグエコー」など、複数の施設を利用できる。カラオケボックスと契約した理由として、「カラオケ店は日中の利用者が少なく、社員は昼間セキュアな環境で仕事ができる」と菱山氏は説明する。

■変更履歴
本文中、再雇用制度の「会社から再雇用のオファーが来る」は「申請する権利が得られる」、研修セミナー対象者の「退職者」は「休職者」の誤りです。また、「有休休暇の全消化をルールとして定めている」は削除、「配偶者」は「パートナー」に変更しました。本文は修正済みです。 [2018/10/12 18:00]