「4:5:6:5」の法則、“地雷”は全工程に

「あなたが関わった案件のなかで、納期遅れやコスト超過が最も発生しやすい工程はどれですか」に対する回答
全工程にリスク、気を抜ける作業はなし
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 システム構築プロジェクトは一般的に、要件定義、設計、製造、テストという手順で進められる。現場では各工程にどれくらいの手間をかけているのだろうか。その目安を知っておくことは、プロジェクトマネジメントの役に立つはずだ。

 そこで、ITベンダーを対象に、「新規プロジェクトにおける要件定義、設計、製造、テストの期間比率は平均するとどのぐらいか」を聞いた。その結果から、システム構築プロジェクトにかかる期間は、「要件定義:設計:製造:テスト=4:5:6:5」の法則があることが分かった。要件定義が最も短く、製造工程が最も長いという傾向がある。

 では、要件定義、設計、製造、テストという工程のどこでトラブルが発生しやすいのだろうか。「あなたが関わった案件のなかで、納期遅れやコスト超過が最も発生しやすい工程はどれか」と、ITベンダーを対象に各工程の危険度について尋ねた。

 「要件定義」と回答した比率は26%。「設計」は23%、「製造」は27%、「テスト」が24%だった。この結果を見ると、際立って危険度の高い工程はないことが分かる。

 つまり、全工程にプロジェクト失敗につながる“地雷”があり、現場の担当者が気を抜ける工程はどこにもない、ということだ。ITベンダーにとっては、どの工程を担当するにしても手を抜いて儲けられるような“美味しい”工程などないわけである。

 納期遅れやコスト超過が最も発生しやすい工程は、ITベンダーの会社の規模によって変わるのかどうかも気になる。分析してみると、会社の規模によって、リスクの高い工程は違うことが分かった。

 5000人以上の大手ITベンダーの場合、リスクの高い順に「要件定義」(32%)、「テスト」(28%)、「設計」(20%)、「製造」(20%)だった。5000人未満のITベンダーでは、「製造」(29%)、「要件定義」(25%)「設計」(23%)、「テスト」(23%)である。企業規模が小さいほど、「製造」工程をリスクと見る傾向が強い。

 大手ITベンダーは、上流の「要件定義」と、仕上げ段階に近い「テスト」を担当することが多く、中堅・中小のITベンダーは「製造」工程に専念するケースが少なくない。こうした事情からも、一連の数字は、妥当な結果といえる。大手ITベンダーは「要件定義」、中堅・中小ITベンダーは「製造」に細心の注意が必要だ。

 要件定義のリスクの高さを指摘する自由意見が多かったことも目を引く。「要件定義が難しくなっている。ユーザー企業の要望をまとめられず、手戻りや検討の遅延によるしわ寄せが後工程で生じ、品質悪化を招いている」(大手ITベンダーの課長)。

 このほか、「顧客企業は要件定義の作業を満足にこなせない。後になってから機能変更・追加が多発し、プロジェクトが失敗してしまうケースが多い」(大手ITベンダーの部長)という内容の意見も多い。「ユーザー企業が要件をきちんと固められない」ということに頭を抱えているITベンダーの担当者がいることは、今も昔も変わらない。