都市部で、気候変動が原因とされる局地的な豪雨が増加している。短時間で大量の雨が降ると、排水路や下水管が水を流しきれなくなって市街地が浸水する内水氾濫が起こる。

 内水氾濫は、川の水があふれる外水氾濫に比べて浸水深が浅く、被害が小規模であることが多い。ただ、地下空間は別だ。1度地下に水が流れ込むと排水しにくく、地下設備が水に漬かることよる経済的な被害や、最悪の場合は逃げ遅れによる人的被害につながりかねない。特に地下街や地下鉄の駅、大型商業施設など地下空間を積極的に利用している都市部では、注意が必要だ。

 最近では、地下空間に特化した避難シミュレーションの技術が生まれている。大成建設は、地下空間の浸水の危険性を評価するシステム「T-Flood Analyzer」を開発した。BIM(ビルディング・インフォメーション・モデリング)やCADのデータを活用して、部屋ごとに水の流入経路や浸水時間、地上出口までの避難にかかる時間をシミュレートできる。止水板や止水扉の効果的な設置場所や、利用者の避難時間を考慮した居室配置など、より安全な防災計画の検討に役立つ。

大成建設が開発した「T-Flood Analyzer」のシミュレーションのイメージ。ある部屋から地上までの避難時間を予測した。図の左上と左下の階段から水が流入する場合を想定し、浸水が深いエリアほど濃い青色で表示する(資料:大成建設)
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図の左上の階段に止水板を設けた場合の浸水シミュレーションのイメージ。止水板が無い場合よりも浸水範囲が狭くなり、短時間で地上に避難できるようになることが分かる(資料:大成建設)
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 「都市部では、広大で複雑な構造の地下空間が多い。階層や部屋によって浸水の速さは大きく異なるため、避難経路や部屋の使い方を工夫すれば多くの人の命を守れる」と同社技術センター社会基盤技術研究部の伊藤一教部長は話す。

地下空間での浸水範囲の広がり方。階層や部屋によって浸水の速度や深さは異なる(資料:大成建設)
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