屋外での肉体労働のイメージが強い建設業界。実は、それと同じくらい重労働で、現場の職員を困らせる作業がある。事務手続きや資料作成だ。工事の入札や契約の書類、施工関係図書、検査や点検の記録――。いまだに大半の現場では、紙でこれらをやり取りしている。

 紙の保管には場所を要し、劣化や紛失のリスクがある。PDF化して保存する手もあるが、書類を作ったり探したりする手間は残る。構造物の3次元モデル上に建設プロセスの様々な情報を蓄積するBIM/CIMの取り組みが建設業界で進むものの、専門知識の習得や機器の購入、膨大なデータの入力といった手間を考えると、導入のハードルは高い。

BIM/CIMの適用に向けたロードマップ。赤枠は日経コンストラクションが加筆(資料:国土交通省)
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 生産性向上に欠かせないペーパーレス化に、中小企業などでも手軽に着手できるようにと日比谷総合設備が提案するのが「バーチャルツアーマニュアル」のサービスだ。建物の内部のパノラマ写真に、図面や設備機器の取り扱い説明書などのPDFデータをひも付けた。システム上で書類を管理し閲覧できる。同社は、設備などの工事を担当した際に、バーチャルツアーマニュアルを合わせて納品する。

バーチャルツアーマニュアルの操作画面のイメージ(資料:日比谷総合設備)
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 資料の保管スペースが不要になる他、タブレット端末でバーチャルツアーマニュアルと現地を見比べながら空調設備や消火設備を点検できる。トラブル対応や点検のたびに、必要な資料を探して集めたり、現場で重い書類を持ち歩いたりする負担がなくなる。

 データを納品する同社にもメリットがある。紙で納品する場合、予備も含めて大量の資料を複数のファイルにまとめる労力がかかっていた。加えて、竣工後に発注者などから問い合わせがあっても、システム上でデータを見ながら話し合えるため、現場での立ち会いの回数を減らせる。

 同社エンジニアリングサービス統括本部管理部の佐藤純一主任は「施工だけでなく運用段階まで見据えたサービスを提供して、発注者と施工者の双方の仕事を省力化したい」と話す。

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