死者・行方不明者が200人を超えた2018年7月の西日本豪雨では、各地で観測史上最大の降雨量を記録した。広範囲にわたり被害が拡大したために、対応が追い付かなかった地域も多い。

 今後も大規模な豪雨の増加が予測され、自治体などの防災関係者は限られた予算でどこから対策に着手すればいいのかと頭を抱える。河川整備などのハード対策を長期的に実施しながら、ハザードマップの作成や避難体制の構築といったソフト対策を早期に講じる必要がある。

 こういった課題に対し、水害対策の優先順位の決定に役立つ情報を無料で提供するのが地圏環境テクノロジー(東京・千代田)だ。地表と地下の水の流れを全国で解析して、浸水が発生しやすい箇所を評価。危険度を示した地図データを同社のホームページで公開している。より高精度な調査や地図の製作を求める自治体、建設会社などには、有料のサービスを提供する。

関東の浸水ハザード評価結果
地圏環境テクノロジーが公開している浸水の危険度のデータ。赤、黄、緑、青、白の順で豪雨時に浸水する危険性が高い。水の流れの解析結果から、地表水の流動量が多く、地形の勾配が小さい地点は浸水する可能性が潜在的に高いとしている(資料:地圏環境テクノロジー)
[画像のクリックで拡大表示]

関東での水の流動経路
地下と地表の水の動きをシミュレートした結果を可視化した。地表水は青線、地下水は赤線で示す(資料:地圏環境テクノロジー)
[画像のクリックで拡大表示]

 公開しているデータは、同社が作成する水循環についての情報基盤「国土情報プラットフォーム」の一部だ。地表と地下を流れる水の経路のほか、湧き水の量、地下の水位などを予測した結果を、地図上で色分けして表示する。浸水の危険度を見れば、ハザードマップを作成するエリアの選定に役立つ。

 国土情報プラットフォームではさらに、計算に用いたデータも閲覧できる。具体的には、地形や地質、植生、土地の利用状況、降雨量といった情報だ。全て、行政機関や国の研究機関が公開している情報を活用している。

 「数多くの機関が自然環境を調査してデータを蓄積している。その中には、活用されずに埋もれているデータも多い。そういったデータを集約することで活用の幅を広げ、役立つ知識に変える」と地圏環境テクノロジーの田原康博社長は話す。

国土情報プラットフォームの概要
公開されている国土や水に関するデータと、それを基に水の動きをシミュレートした結果を集約し、災害などに役立つ情報を発信する(資料:地圏環境テクノロジー)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。今なら有料会員(月額プラン)が12月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら