今年も台風や地震の影響を受けて、全国で土砂災害が頻発した。土砂災害の発生確率が高い箇所を対象に、災害前のわずかな変位を察知し、周知する技術が求められている。

 現状でも傾斜計を斜面に複数個設置して、無線で接続する監視センサーはある。ただし、必ず近くに基地局を置いて、そこでデータを集約してからクラウドなどへ通信する必要があった。初期導入費が600万~1000万円程度必要で、水平展開することは難しく、結局、巡視による目視点検に頼らざるを得なかった。

従来の傾斜監視センサーのイメージ(資料:西松建設)
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 この課題を解決するために手軽な傾斜監視システムを考案したのが、中堅ゼネコンの西松建設だ。2018年に、LPWA(省電力広域無線通信)を活用した傾斜監視クラウドシステム「OKIPPA(オキッパ)104」を開発した。既存の類似技術と比較して、トータルコストを半減できる。LPWAの通信規格には、京セラコミュニケーションシステムがオペレーターとなるSigfoxを使用している。

西松建設が開発した新しい監視システムのイメージ(資料:西松建設)
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 「今後は造るだけでなく、インフラを見守れるゼネコンになってはどうかという思いでモニタリングや監視に注目した。生産年齢人口が減少していくなか、インフラ管理の担い手を、これまでの人から機械に置き換えていく」。西松建設社長室事業創生部事業創生一課の鶴田大毅担当課長は、開発の意図をこう話す。

 10㎝×10㎝×4㎝と手のひらサイズの小型センサーボックスを傾斜監視したい箇所に設置するだけでよい。給電や配信のための配線作業は不要だ。1台当たり19万8000円のセンサーボックスさえあれば、毎月2000円のクラウド利用料で、すぐに監視を始められる。

「OKIPPA104」の装置(写真:西松建設)
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木杭などを打ち、ビス留めで簡単に設置できる(写真:西松建設)
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 「2年間の利用期間で月換算にすると約1万円程度。スマートフォンを利用する感覚でモニタリングできる」(鶴田担当課長)。

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