都市部の緑地では、良好な景観や憩い、生物多様性の視点から、人工池などの水辺を設けるケースがある。ところが、管理が大変でわずか数年でヘドロ化したり、池自体が撤去されたりすることは珍しくない。

右は藻類が発生して濁っている池。左は対策を講じて好気環境を維持している池(写真:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 主な原因は、窒素やリンの栄養塩の流入に伴う藻類の大量発生だ。異臭を放ち、景観は悪化。死滅した藻類が底部に沈んでヘドロが堆積すれば、いずれ水辺が消失してしまう。

人工池における藻類発生とヘドロ堆積の仕組み(資料:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 昔は大量発生する藻を死滅させるために、化学薬品を入れていた。しかし、生態系に配慮して近年では使われなくなっている。環境に悪影響を及ぼさない代替の水質保全技術が求められていた。

 大成建設と日本植生(岡山県津山市)が共同で開発した「アクアトープ」は、水の富栄養化を防ぎつつ、水辺内に植栽基盤を構築する水質保全システムだ。富栄養物質を吸着するために、採用したのが食品の廃棄物だ。

アクアトープのシステム概要(資料:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

 「コーヒー豆の出しがらを炭にした機能炭を使っている。硝酸イオンを吸着する効果がある」。こう話すのは、大成建設技術センター技術企画部技術推進チームの瀧寛則次長だ。簡易砂ろ過と機能炭による吸着槽から成る装置に、ポンプで水を循環させて池に戻す。機能炭の硝酸イオンの吸着量は、イオン交換樹脂と比べて約2倍だ。

 機能炭は1年ほどで交換した後、周辺の緑地にまいて肥料として使う。再度、リサイクル材として効果を発揮するわけだ。吸着した窒素分を今度は植物が利用する。

硝酸イオン吸着能力のビーカー試験の結果(資料:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]
硝酸イオン吸着済みの機能炭を所定の割合で添加したまさ土で1カ月間育てた、コマツナの収穫量。添加量が多くなるにつれて収穫量が増えた(資料:大成建設)
[画像のクリックで拡大表示]

この先は有料会員の登録が必要です。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら