コンクリートの破砕作業で生じる音は、多くの建設現場で悩みの種となる騒音の1つだ。特に、油圧ショベルのアタッチメントとして装着するブレーカーで構造物を解体する場合は、大型のノミを連続的に打ち付けるため、大きな音が続けて出る。近隣への配慮が欠かせない。

 大きな爪で対象物をつかむ圧砕機などを使えば、比較的静かに解体できる。しかし、背後に空間がない地下躯体(くたい)や基礎部分は、爪でつかめないことも多い。そうした場面では、ブレーカーを使わざるを得ない。ノミの駆動部に防音対策を施した低騒音タイプのブレーカーを使っても、2デシベル程度しか抑えられなかった。

 同じブレーカーによる破砕でも、全く別のアプローチから効果的な騒音対策を実施したのが大林組だ。ブレーカーに後付けできる装置「バブルサイレンサー」から作られる泡で、破砕対象やノミの部分を覆って音を抑える。

バブルサイレンサーを使って泡を放出している。ブレーカーの先端のノミ部分が泡で覆われている(写真:大林組)
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 大林組がブレーカーから出る音の発生状況や周波数の特性を解析した結果、周囲に最も大きな影響を与える音の発生源はノミ部分であることを確認。また、コンクリートなどにノミを突き立てたときに、人が不快に感じやすい高周波数の音が生じることが分かった。

 ノミ部分は可動部であるため、これまで遮音カバーを付けるなどの直接の対策が難しかったが、泡で覆うことでその課題を解決した。

バブルサイレンサーの概要(資料:大林組)
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 ノミを覆う泡を放出し続けて一定の厚さに保つことで、高周波数の音を抑制する。コンクリートの破砕面を泡で覆うため、粉じんの飛散を防ぐ効果もある。飛散防止ネットの設置や作業員による散水などの対策を省ける。

 泡のもとになる気泡溶液には工事で一般的に使う洗剤を採用し、人体への安全性も確認済み。気泡が付着したガラも「がれき類」として従来通り処分できるという。

 都内のコンクリート解体工事に試験適用したところ、5デシベルの低減効果を確認。低騒音タイプのブレーカーに取り付けると、7デシベル小さくできる。

高周波数の音域で騒音レベルを5デシベルの低減した(資料:大林組)
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