工事がうるさい――。騒音と振動は、工事現場の周辺住民から上がる苦情の代表例だ。基準値以下に抑えていたとしても、音の感じ方には個人差があるために対応が難しい。最近は、騒音源に直接働きかけたり、現場から民家に音を伝わりにくくしたりするなど、さらなる“消音化”が進む。工事や現場周辺の状況に合わせて適切な対策を選べるようになってきた。

 土木や建築の工事では、大型の車両や機械を長期間にわたって使うため、騒音や振動は避けては通れない問題だ。例え、騒音規制法や条例で定められた基準値を下回っていても、長く続けば不快に感じる住民は増える。

 建設現場では一般に、周囲に防音壁を設置して対策を講じている。ただし防音壁で低減できるのは、鋼材同士が接触したときなどに生じる高い周波数の音が中心だ。重機のエンジン音などは、音圧が大きい低周波音なので、防音壁を越えて地響きのように近隣に伝わってしまう。低周波音は聞き取りにくい一方で、窓ガラスや家具を揺らす特徴があり、住民に不快感を与えやすい。

低周波音が近隣の民家に伝わるイメージ。防音壁は高周波の音が伝わるのを防ぐ効果があるものの、低周波の音は波長が長く音圧が大きいため、カットしにくい(資料:奥村組)
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 低周波音による問題の解決に向け、重機や工事車両から発生する低周波音に直接働きかけて音圧を小さくできる「アクティブ消音システム」を開発したのが、奥村組だ。騒音源である排気筒などの近くにマイクを設置して音を解析し、打ち消すことができる音を人工的に作る。その音をスピーカーから瞬時に出して、騒音と重ね合わせる仕組みだ。

アクティブ消音システムをアジテーター車に適用したイメージ。マイクで騒音を捉えて、スピーカーから騒音を打ち消す音を出す(資料:奥村組)
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 山岳トンネル工事でコンクリートを運ぶアジテーター車にシステムを適用した実証実験では、民家の周囲で聞こえる100ヘルツの帯域のエンジン音を8デシベル減らせた。システムを使わない場合に比べて、聞こえる音が40%ほど小さくなる。

実証実験の結果。80ヘルツの帯域の音は7.8デシベル、100ヘルツの帯域の音は8デシベル小さくできた(資料:奥村組)
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