樹木が波浪や津波を軽減する――。昔であれば、一笑に付されていたかもしれないが、2004年のインドネシアのスマトラ沖地震による大津波を機に潮目が変わった。熱帯・亜熱帯地域の潮間帯に広がるマングローブ林に減災効果があることが確認されたためだ。

汽水域に生えるマングローブ。地球温暖化における緩和策としての二酸化炭素の固定効果以外に、適応策としての減災効果があるとして注目を集めている。多様な生物種の保存効果もある(写真:港湾空港技術研究所)
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 以降、マングローブなどの生態系を活用した防災・減災(Eco-DRR)の研究が熱を帯びている。国内でも2017年から壮大な研究が始まった。「グリーンインフラを用いた気候変動に伴う沿岸災害の減災評価手法の開発」だ。京都大学、NEC、国立環境研究所、東北学院大学、茨城大学、港湾空港技術研究所が共同で取り組む。

 気候変動を考慮した数値シミュレーション上で、マングローブの波浪低減機能を評価し、その成果などを基に実際にどの密度で植林すればいいか、また不足する機能をコンクリート構造物などのグレーインフラでどの程度補えばいいか――。アジア太平洋地域のあるフィールドで、実装までを見据えたトータルパッケージでの研究だ。それだけに難易度も高い。

 「気候変動下でのグリーンインフラの定量的評価といった普遍性を求める一方で、社会実装する際にはその地域での個別対応が必要になるという難しさがある」。研究開発グループでリーダーを務める京大防災研究所の森信人教授は、こう説明する。

研究ターゲットと成果の最終イメージ(資料:京都大学防災研究所)
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研究の枠組み(資料:京都大学防災研究所)
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