自然が持つ多様な機能を賢く利用することで、持続可能な社会と経済の発展に寄与するインフラなどを指す「グリーンインフラ」。国内で数年前から概念が浸透し始め、最近では自然のそうした機能・効果を定量的に評価しようとする取り組みが盛んになってきた。生態系の機能を取り入れたインフラが、近いうちに実現するか。

水路に立つ樹木。照明で照らされたアート作品のようだ(写真:日経コンストラクション)
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 暗がりの水路に立つ1本の樹木。まるで美術館のアート作品のように見えるが、実はこの写真は、神奈川県横須賀市にある港湾空港技術研究所の大規模波動地盤総合水路で2018年から実施している、世界初となる実験の様子を切り取った1コマだ。

 水路に設置した樹木は、見た目が少し寂しい感じだが、正真正銘、本物のマングローブだ。沖縄県の西表島にある琉球大学の研究施設内に植林しているマングローブを環境省や林野庁、同大学の許可を得て採取し、1週間かけて持ってきた。搬送が夏場だったので、葉っぱが全て落ちてしまっただけだ。

 実験では、高波・高潮、津波を作用させて、マングローブなどの生態系による波の減衰効果がどれほどあるかを調べる。グリーンインフラの中でも、防災や減災の機能に着目したアプローチのEco-DRR(Ecosystem-based Disaster Risk Reduction)で、社会実装に向けた研究が進んでいる分野の1つ。港湾空港技研の他、京都大学、NEC、国立環境研究所、東北学院大学、茨城大学などが参画する。

世界で最大の波を起こすことができる水路に、マングローブを設置。水深1.5m、波高1.5m、周期7秒の波浪を作用させた(動画:港湾空港技術研究所)

西表島から運んできた本物のマングローブ。複数の根を持つのが特徴だ。隣は、港湾空港技研の海洋研究領域耐波研究グループの鈴木高二朗グループ長(写真:日経コンストラクション)
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