先端ITを結集しつつあるeスポーツ。しかしこのままではせっかくの先端技術が宝の持ち腐れになる恐れがある。技術的には十分成熟しているものの、ビジネスとして提供するメドが立っていないためだ。

 商用化を阻むのはカネの出し手の不在。eスポーツそのものが抱える課題や日本のeスポーツ市場特有の構造問題が絡み合い、解決の道筋を見通すのは容易ではない。

ジャカルタで開かれたアジア競技大会では日本と各国の代表が腕を競った
(出所:日本eスポーツ連合)
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 「技術的にはすぐにでも実用化できるが、今は寝かしている状態だ」。こう打ち明けるのはNTTデータの高島正幸ITサービス・ペイメント事業本部メディア統括部サービス企画担当部長だ。

 同社は「Wi-Fiマルチキャスト技術」を使った競技会場内の映像配信システムやAI(人工知能)を使った映像解析システムなど、eスポーツの大会を支える技術開発を進めている。技術開発の検討に取り掛かったのは2015年と、大手IT企業の中でもいち早く取り組みを始めた。

 データ収集と分析、来場者やネット利用者に向けた競技映像の見せ方、大容量データを配信してもフリーズしない高性能なシステムや高品質なネットワーク。3年を費やして様々な技術を検討し、実証も重ねてきた。2018年度中には新たに、パケットの優先制御技術などを使って競技大会会場の通信環境を構築する実証実験に取り組むことも検討している。

 ただ、一連の取り組みはあくまで実証。事業化に向けた具体的なメドは立っていないのが実情だ。

カネの出し手の不在が技術の実用化を阻む

 eスポーツを支える技術の実用化に立ちふさがるのはズバリ、カネだ。

 「最大の課題はマネタイズ(収益化)。どうすれば収益を上げることができるか、ビジネスモデルを検討している」。NTTドコモの森永宏二 コンシューマビジネス推進部ゲームビジネス担当課長はこう語る。同社は5G通信技術やAR(拡張現実)を使ったeスポーツ向けシステムの開発を進めている。ただ、事業化に関してはNTTデータと同様に実証段階。具体的なビジネスモデルを描けてはいない。

 「eスポーツで儲かっている企業は、まだほとんどないだろう」。業界関係者はこう打ち明ける。数万人を集めるイベントや年間を通してのリーグ戦など盛り上がりを見せるeスポーツだが、主催者にとって現状はほぼ持ち出しだ。

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