北海道胆振(いぶり)東部地震では、築年数の古い木造建築の被害が多数を占めた。ところが、建物被害について詳細に伝えている報道はほとんどない。ただ、その被害から今後の建物の防災や震災対応を考えるうえで重要な教訓を得られる事例は少なくない。北海道で一足先に普及していた省エネ住宅ならではの被害などが生じていたからだ。特徴的な被害を4つ挙げる。
最初に紹介するのは、既存の外壁を残したまま、上からサイディングを張る、北海道に多いカバー工法を採用した住宅で見逃される被害だ。カバー工法の住宅はサイディングに被害がなくても、既存の外壁に被害が発生している場合がある。そのため、サイディングの裏にある既存外壁の被害が見逃されている。自治体が実施する住家被害認定調査では外側しか調べないために、このような問題が起こっているのだ。
札幌市清田区に立つ築45年の木造2階建て住宅はカバー工法を用いて、既存の壁に生じた被害が見逃された一例だ。カバー工法のサイディングに被害が見られなかったので、札幌市の住家被害認定で一部損壊と判定された。
判定結果に納得できなかった建て主は、インスペクション会社であるINDI(札幌市)に再調査を依頼。同社が外壁の一部を剥がして確認したところ、柱が土台からずれていて、モルタルにひび割れが生じていた。
INDIの東出憲明代表は、「カバー工法を採用した別の住宅でも、被害が見逃されていた。住家被害認定の調査員はカバー工法かどうかを確認し、カバー工法の場合は仕上げ材を一部剥がす調査が必要だ」と訴える。
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