札幌市内やその近郊には複数のデータセンター事業者が拠点を構えている。2018年9月6日に発生した北海道胆振東部地震による道内全域の停電でこれらのデータセンターも外部からの電力供給が断たれたが、大半はUPS(無停電電源装置)や自家発電機への切り替えに成功。大きなトラブルはなかった。

 自家発電機の稼働に必要な燃料について、NECや富士通は72時間分、日本ユニシスも「非公表だが当面の稼働に十分な量」(広報)をセンター内に備蓄していたという。この結果、地震当日の9月6日から翌7日にかけて北海道電力が送電を再開するまで、サーバーの稼働を継続できた。

自家発電で持ちこたえた
表 北海道胆振東部地震による北海道内の主なデータセンターへの影響
データセンター
の運営会社
データセンター
の所在地
停電によるサーバー
への影響
商用電源が復旧し、自家
発電から切り替えた時期
NEC札幌市なし6日夜
NTTコムウェア札幌市なし 6日昼過ぎ
さくらインターネット石狩市地震直後、制御回路の障害
で電源切り替えに失敗し、一
部サーバーが約5時間停止
7日未明~8日昼過ぎ
日本ユニシス札幌市なし6日夜
富士通札幌市なし7日昼過ぎ
ほくでん情報
テクノロジー
札幌市なし 6日昼過ぎ~7日早朝

 ただ、一部でトラブルもあった。さくらインターネットは石狩市内で運用するデータセンターで電源の切り替えに失敗、収容していたサーバーの一部が地震発生の6日午前3時過ぎから約5時間にわたり停止した。

 気象庁の観測データによると、同センターがある石狩市内は大半の地域が震度4~5弱程度の揺れだった。地震そのものによる被害は「建屋やサーバーラック、通信回線、従業員などを含めて無かった」(さくらインターネット広報)。だが、地震の直後に北海道電力からの商用電源が停止した。

 同センターはゾーンごとにUPSを「N+1」の冗長構成で設置していた。本来はUPSが直ちにサーバーへ給電を始め、1分後に自家発電機が起動するはずだった。

 だが、「商用電源の喪失を検知して非常用電源へ自動で切り替える制御回路が正常に作動しなかった」(同)ため、一部ゾーンのサーバーが停止を余儀なくされた。13日夕方時点で障害が発生した制御回路は特定できたが、障害発生の詳しい原因については調査中という。

綱渡りの燃料手配

 さくらインターネットは自家発電機の燃料について「48時間以上稼働できるよう備蓄している」とする。同社は地震が発生した後に「国および経済産業省の支援を受けながら燃料確保に向けた調整を進めている」と自社サイトで公表した。発生翌日の7日午前に燃料手配のめどが立ったという。

 企業の基幹系システムを預かる大手データセンターの場合、災害時に優先して燃料の供給を受けられるよう、平時に石油会社などと契約を結ぶケースが多い。「企業や行政機関の重要システムを多数収容しており、データセンターが停止すれば経済活動がままならない。データセンターは行政機関や病院に次ぐ重要インフラと認識してもらい、優先的な燃料供給へ協力を得ている」(あるデータセンター事業者)。

 北海道電力からの送電は7日未明に50%、8日昼過ぎに全面復旧し、さくらインターネットも燃料枯渇を免れた。同社は災害時の燃料供給契約の有無については「答えられない」(同)としている。停電の長期化への備えが課題として残りそうだ。