北海道で観測史上初となる震度7を記録した北海道胆振東部地震。北海道庁によると2018年9月14日現在、死亡者数は41人に上った。最も多かったのは震度7を観測した厚真町で、大規模な土砂崩れなどにより36人が亡くなった。重傷や軽傷を含め、道内の負傷者は680人を超えた。

 揺れによる人的被害や建物の損害に加え、北海道の全域で停電(ブラックアウト)が発生。停電戸数は約295万戸に達した。

 人々の生活や社会、企業活動のデジタル化が急速に進むなか、全域停電により電力がもたらす恩恵と裏腹のもろさが浮き彫りになった。

全域停電が様々な産業に打撃
表 北海道胆振東部地震における業種別の主な被害状況  赤字:停電による影響 黒字:倒壊などによる影響
業種被害状況
電力●北海道内のほぼ全世帯に当たる295万戸で停電。11日時点でほぼ復旧したが計画停電回避へ北海道電力や政府が節電を要請
データセンター●さくらインターネットが自家発電装置への切り替えに失敗し、一部サーバーが5時間停止
コールセンター●全国の1割強の施設が集中する道内で、施設の大半が業務を停止
金融、公共●札幌証券取引所の全銘柄の売買が停止
●道内全域でATMの停止や銀行店舗の営業休止が相次ぐ
●旭川市役所のネットワークが9時間停止
製造、小売り、農畜産●自動車部品の関連工場が操業を停止。他地域の完成車工場の 操業にも影響
●室蘭市の製鋼所で火災が発生し11日夜まで操業を停止
●道内のスーパーや百貨店で休業や営業縮小が続出
●道内の乳業工場の9割が操業を一時停止。冷蔵設備が止まり生乳の廃棄も相次ぐ
通信●NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクで通信障害が発生

 スマートフォンなどを使ったキャッシュレス決済が使えなくなったことは象徴的な被害と言える。スマホを充電できなくなったりPOS(販売時点情報管理)レジが使えなくなったりして、キャッシュレスサービスを使う市民に困惑が広がった。

 情報処理を担うデータセンターと顧客接点を受け持つコールセンターも停電で打撃を受け、北海道だけでなく日本各地の企業活動に支障が出た。データセンター事業者は自家発電に切り替えたものの、一部の事業者が切り替えに失敗してサービスが止まった。コールセンターを抱える企業も電話の受け付けを休止したり受け付け規模を縮小したりせざるを得なくなった。

 銀行は地震発生の直後、道内全域でATMのサービス継続が困難になった。札幌証券取引所は地震発生当日の9月6日、終日にわたって売買を全面停止した。北海道に集積する自動車部品工場をはじめとする製造業は工場の操業を相次ぎ休止した。

 停電は北海道の基幹産業である農畜産業も揺るがした。停電や交通網の寸断で野菜や乳製品を出荷できず、品薄や価格の高騰を招いた。停電と商品不足のダブルパンチで、道内のスーパーやコンビニエンスストア、百貨店は休業や営業縮小が続出した。

教訓のバトン、つなげるか

 全域停電というかつてない事態に見舞われた北海道は、企業や行政の努力もあり急ピッチで復旧が進んでいる。

 日本は地震大国であり、同じような被害がいつどこで起こってもおかしくない。こうした現実を、北海道地震は日本の全ての企業や組織と人々に改めて突き付けた。今回は携帯電話網の早期復旧やデータセンターの電源切り替えなど、東日本大震災の教訓が生きたシーンがあった。教訓のバトンを未来につないで次なる震災の被害を少しでも減らすためにも、北海道の実態に目を向ける必要がある。