北海道胆振(いぶり)東部地震による死者41人のうち、36人は厚真(あつま)町で生じた大規模な土砂崩れで亡くなった(9月11日時点)。行方不明者の捜索が続く9月7日と8日、記者は現地で専門家の踏査に同行した。「風化して粘性化した軽石層が滑り面となって表層崩壊を起こしたのではないか」。崩壊面や流出した土砂を観察した北見工業大学工学部の渡邊達也助教はこう推察する。 

北海道厚真町で斜面崩壊が多発した現場。現地を訪れた9月7日と8日は、まだ行方不明者の捜索が続いていた(写真:日経コンストラクション)
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 厚真町では9月6日未明の地震で震度7を観測。夜明けにヘリコプターなどで上空から撮影された写真や映像には、広い範囲に連なるように山肌が露出した異様な光景が映し出された。同町の複数の集落で家屋が崩れた土砂に巻き込まれ、住民が生き埋めになった。

地震発生当日の9月6日に空撮した厚真町の土砂崩れの様子。東和地区付近から南東方向を撮影(写真:アジア航測・朝日航洋)
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被災後の厚真町の航空写真などから、土砂に埋もれた建物とその周辺の斜面崩壊箇所を判読した結果。愛媛大学の森伸一郎教授が作成した。吉野地区と富里地区では建物の被害が多くなっている(資料:愛媛大学)
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 厚真町役場から道道235号を北東に5kmほど進むと、同町の吉野地区に入る。集落があるのは厚真川を中心とする谷底平野の水田地帯だ。

 吉野地区で土砂が押し寄せた住宅は、厚真川の右岸側の河岸段丘の崖下にあった。9月7日午後5時ごろに記者が現地を訪れると、崩れた土砂や樹木が崖の麓から50m以上流れ、水田にせり出しているのが目に入った。山側に傾いて立ったままの樹木が多く、まるで斜面の表層が形を保ったまま水田の上に滑り出たかのようだ。

厚真町吉野地区における災害発生前後の航空写真(写真:国土地理院)
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水田の上に流れ出た樹木と土砂。水田は抵抗が少なく、土砂が長距離にわたって流れ出やすかった可能性がある(写真:日経コンストラクション)
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押しつぶされた崖下の住宅。谷底平野はほとんどが水田になっている(写真:日経コンストラクション)
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吉野地区の東部では崩壊面がほぼ一様な勾配で続いていた(写真:日経コンストラクション)
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自衛隊や全国から集まった警察、消防が行方不明者の捜索に当たっていた。撮影した9月8日昼には発災から60 時間近くが経過し、現場の緊張が高まっていた(写真:日経コンストラクション)
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