瞬間移動の仮想体験、乗ると元気になるヒコーキの開発、客室乗務員向けアプリの刷新、データセンター移転…。ANAホールディングスは様々な先進技術を使い、新たなビジネスモデルを構築する。奇想天外、超先進的なデジタルイノベーションの全貌に迫った。

 ANAグループが現在進める最も大きなITプロジェクトがデータセンターの移転である。118ある業務システムを2019年3月までに全て移行する計画。費用は5年で約1000億円と巨額だ。

 システム移行は2014年11月から開始した。対象となる118のシステムのうち、既に9割以上の移行を終えている。

 データセンターの移転を機に、システム基盤も刷新する。以前はシステムごとにハードウエアやミドルウエアがバラバラだった。だが新センターでは、共通のプライベートクラウド基盤を構築。このインフラ上で各システムのアプリケーションを動かす。システムの柔軟性を高めつつ、保守・運用コストを3割削減するのが目標だ。既に移行を終えたシステムでは、当初の目標を上回るコスト削減効果が出始めているという。

 「デジタル化を進めるには、様々なデータの提供元である既存システムが古いままではダメ。新しいテクノロジーを活用し、システム基盤を常にブラッシュアップしていくことが重要だ。データセンターの移転を機に、システム基盤を刷新したのはそのため」。移転プロジェクトを担当する、全日本空輸(ANA)の森下高弘業務プロセス改革室企画推進部情報セキュリティ・基盤戦略チームマネジャーは基盤刷新の狙いをこう話す。

ANAの森下高弘業務プロセス改革室企画推進部情報セキュリティ・基盤戦略チームマネジャー
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システムの従量課金で過剰投資を抑制

 移転プロジェクトの検討を始めたのは2013年。きっかけは1980年代から使用している自社所有のデータセンターの老朽化だった。そこで新しいデータセンターを建設し、そこに全てのシステムを移行することを決めた。建設費は1000億円には含まれない。

 移行プロジェクトのポイントは単純にシステムを移すだけではなく、移行を機に新技術を取り入れ、システム管理の手間を削減したり、安全性を高めたりすること。具体的には「プライベートクラウドの構築」「システム構成の標準化」「災害対策(ディザスターリカバリー)」などを実現する。

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