基礎の軽微なひび割れも、建て主にとっては不安を抱く要因となる。今回は施工ミスではないが、建て主への説明が不十分だったためにトラブルとなった事例だ。軽微なひび割れが生じた場合の対応に加え、ひび割れの防止策を解説する。(日経ホームビルダー)

(写真:カノム)
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 これまでの連載で紹介してきた事例と異なり、今回は施工ミスを見つけたわけではない。住宅会社の多くが対応に苦慮しているであろう基礎の軽微なひび割れ、いわゆるヘアクラックで、住宅会社が建て主の信頼を失いかけた事例だ。

 私のところには、基礎のひび割れについての相談が、建て主と住宅会社の双方から、少なくとも月に1件は寄せられる。そのなかで先日、基礎のひび割れが発端で大問題に発展した事例があった。

 建て主は家の基礎の外周部に計15本ほどのひび割れを見つけた。施工した住宅会社が調査して示した見解は、収縮によるひび割れであり問題はないというものだった。

 その簡単な回答に納得できなかった建て主は、ある公的機関へ相談。担当した一級建築士から「ひび割れがあるということは、家が傾いている可能性がある」と指摘された。そこで、知人に紹介された別の一級建築士に家を見てもらうと、「大きな傾斜はないが、かなり危険な状態なので、基礎を炭素繊維で補強したほうが良い」と約300万円の補強工事を勧められた。

 全く食い違う回答に、施工した住宅会社が嘘を言っていると思い込んだ建て主は、家への不安から精神を病んでしまった。

 その後、私が建て主から依頼を受け、現場を確認。住宅会社の説明どおり、収縮が原因のひび割れであり、本数は多いもののすべて幅0.3mm以内のヘアクラックなので、炭素繊維などの補強は必要ないと判断した。最終的に建て主は納得したが、一度病んでしまった精神的な病状は今も治らない。