人工知能の応用分野として、画像やデザイン(意匠)、音楽などのコンテンツを作り出す「生成AI」が注目されている。なかでも近年最も脚光を浴びている技術の1つが「敵対的生成ネットワーク(Generative Adversarial Network、以下GAN)」だろう。

 GANは2014年にIan Goodfellow氏(現在は米アップル(Apple)に在籍)が発表した生成AIの方式である。『日経エレクトロニクス』2019年7月号によると、論文発表は2014年だったが、ある程度の高精細画像が出力可能になったのは2017年末であり、2019年3月にはAppleがGoodfellow氏を米グーグル(Google)から引き抜いた(「打ち出の小槌になる生成AI」)。開発競争が激化している分野であることがうかがえる。本稿では、特許情報の切り口からGAN技術の開発・応用分野などを分析する。

 GANに関する特許出願は、Goodfellow氏の論文発表の翌年からみられ、2017年から急激な増加に転じている(図1)。2019年6月現在、2018年出願分は件数が少ないが、これは特許出願から公開までに1年6カ月を要するためである。同時期の論文発表数の増加率から見て、相当数の未公開特許出願が存在すると推定される。

図1 GAN関連特許数が急増
(図:筆者)
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医療系企業も多数出願

 2015年から現在までに、GAN技術そのもの、またその応用について言及した特許出願は全世界で約800ファミリー、出願数では1300件弱を確認した。出願人は、中国の大学や大手IT・ハイテク・医療企業など幅広い(表1)。

表1 GAN関連特許の主な出願人
中国の大学発出願が多いため、図2では出願件数(ファミリー数)1~3位と、4位以下の主要企業を示した。(表:筆者)

 1位は華南理工大学、2位は「StackGAN」でも知られる中国Baidu(百度)である。また、3位以下ではドイツのシーメンスヘルスケア(Siemens Healthineers)、米GE(General Electric)、テルモがランクインしており、医療機器関連企業が早くからGAN技術に注目してきた様子が推察される。また、Ian Goodfellow氏が2019年初頭まで在籍していたGoogleも多くの特許出願を行っている。各企業の出願内容については後述する。

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