伝統産業である酒造の世界にも、IoT(Internet of Things)の波が押し寄せている。権田酒造(埼玉県熊谷市)は、酒造の最終段階に当たる仕込み時の「もろみ」の温度を光ファイバーの温度センサーで測定。杜氏(とうじ、酒造の最高責任者)の「勘」の裏付けとなるデータを収集して、分析し、製品である酒の質向上や杜氏のノウハウの伝承に取り組んでいる。

仕込みタンクが並ぶ権田酒造の酒蔵内部。
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光ファイバーを活用したステンレスバーの温度センサーを、タンク内のもろみに挿入している。

 権田酒造は1850年の創業以来、約170年にわたって埼玉県熊谷市で酒を造り続けている老舗だ。同社では現在も、全て「槽掛け」(ふながけ)という昔ながらの手法で酒を搾っている*1。木造の社屋は築約90年。酒米は昔ながらの和釜で蒸し、何十年と使い続けている放冷機で冷却する。槽掛けに使用している木製の槽は今やほとんど生産者がなく、貴重だという。

*1 槽掛け:熟成したもろみを入れた酒袋を、木製の槽(ふね)という圧搾機に積み重ね、2、3日かけて酒を搾る手法。布製である酒袋の目の隙間からにじみ出て槽口から雫り落ちたばかりの酒が「しぼりたて」。袋の中に残ったものが「酒粕」だ。

権田酒造の店舗兼社屋(右)と酒蔵(奥)。権田酒造は1850年創業の老舗だ。
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権田酒造では現在も、全て「槽掛け」(ふながけ)という昔ながらの手法で酒を搾っている。
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酒米を蒸すのに使用する和釜。
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