日本の建設業における死亡者数は世界的に見ても少ない方だが、まだ上には上がいる。建設災害が最も少ないとされる英国だ。死亡者率が日本の5分の1程度にとどまる。

 日本は死亡者数300人の壁を突破したとはいえ、減少幅には陰りが見える。死亡者数をより一層減らすには、世界に学ぶべき視点が要りそうだ。

建設労働者10万人当たりの死亡事故発生率(資料:英国安全衛生庁)
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 英国ではリスクを発生させる人や組織が、リスクを除去・低減させる責任を負うという思想に基づき、安全衛生の文化を培ってきた。特に1994年に制定したCDM「建設(設計・マネジメント)規則」が死亡者減の後押しになっている。

 CDMは、発注者がお金と時間をかけて安全と衛生を担保する計画を提供し、また設計者も事故のリスクを除くために、建設プロセスを考慮して設計しなければならないという規則だ。それが守られずに事故が起こると、罰金・禁固刑に処される。

 CDMの施行以前は、発注者は予算を有効に使うためにできるだけコストを削減する計画を実行し、その思想に基づいた設計が施工者の手に渡っていた。英国安全衛生庁(HSE)国際本部のニック・リグビー主任審査官は、「事故のリスクが十分に取り除かれずに工事が始まり、お金も時間もないなかで施工者はリスク管理せざるを得なかった」と振り返る。

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