戸田建設が施工していた「天竜川水系穴沢砂防堰堤管理用道路トンネル工事」で、予想だにしない死亡事故が発生したのは2017年3月のこと。事故現場は、トンネル工事で危険性が高いとされる切り羽(トンネルの掘削面)付近ではなく、トンネル坑外に設置したバッチャープラントだ。

事故現場と同型のバッチャープラント。写真奥の2階にあるミキサーで練ったコンクリートを、下で待機中のアジテーター車に入れる(写真:戸田建設)
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 1次下請け会社の金子組(岡山県倉敷市)の作業員が、吹き付け用のコンクリートを練るためのバッチャープラントのミキサーに巻き込まれて亡くなった。ミキサーには清掃用の蓋が付いており、作業手順では練り混ぜ中に開けてはいけない決まりになっていたが、事故時には開けっ放しになっていた。

 プラント内には被災者が1人だけで、目撃者はいなかった。「なぜこういう事故が起こったのか分からない」と工事関係者が口をそろえて言うように、誰も想定できない事態だったようだ。

 以下、事故の経緯について順を追って説明していく。

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