「想定外だった」。安全管理の盲点を突く死亡事故が毎年、繰り返し発生している。事故を想定外で済ませず、現場に潜む未知のリスクを事前に洗い出しておく必要がある。2017年に実際に起こった死亡事故から教訓を学ぶ。

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 「下請け会社の作業員に対する安全管理は徹底していても、元請け会社の技術者同士が実施する作業については盲点だったようだ」。

 熊本県天草広域本部土木部工務第一課の堤康博課長がこう振り返るのは、天草市で2017年5月、国道389号下田南バイパスの拡幅工事中に発生した死亡事故についてだ。元請け会社である藤本組(天草市)の技術者が、崖地で作業中に足場の外側から墜落。約16m下に落ちて、頭部を強打し即死した。

天草灘にそびえる崖地で事故が起こった。被災者は赤丸の位置から、約16m下の海岸線付近まで墜落した。右は事故現場付近の断面図。国道389号下田南バイパス拡幅工事の施工延長は51.7m、軽量盛り土の量は1184m3(写真:熊本県)
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 現道を海側に拡幅するために、崖地へH形鋼を建て込んだ後、パネルを型枠代わりにして硬質発泡ウレタンによる軽量盛り土を構築する。事故は、パネル設置の高さをそろえるために施工した調整コンクリートの出来形測定の最中に起こった。

 箱尺を持った現場代理人が足場の内側で調整コンクリートの上に立ち、一方で被災者は足場の外側に出て、唯一あった平場に三脚を据えて計測していた。足場の単管パイプから、1~2mしか離れていない場所だった。

事故発生時の状況。熊本県などへの取材を基に日経コンストラクションが作成(写真:熊本県)
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 被災者は安全帯を装備していたものの、親綱へフックを掛けていなかった。測定を無事終えて、現場代理人が視線を別の場所に移した後に、何かがすべり落ちる音がしたのですぐさま振り返ると、被災者が崖下へ転落していた。

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