オリパラ大会に向けて、車椅子使用者に配慮した客室の整備が各地で進む。設計段階から使用者の視点を入れ、さらに使用者による実地調査を行う例もある。見えてきたのは、法令順守だけではかなわない使い勝手だ。

 「Casual Resort COFF Ichinomiya(カジュアルリゾート・コフ・イチノミヤ)」(千葉県一宮町、以下コフ)は、2020年のオリンピック競技大会でサーフィン会場となる釣ケ崎海岸から徒歩約5分の位置に立つ。

 既存施設の隣地に、車椅子使用者をはじめ、高齢者や外国人、乳幼児連れ、ペット同伴者など、広い客層に訴求できるユニバーサルデザイン(UD)の新客室とレストラン棟を新築した〔写真1、2〕。オリンピックによる周辺エリアのにぎわいを、集客につなげることが狙いだ。

〔写真1〕五輪きっかけに集客の間口広げる
「Casual Resort COFF Ichinomiya」の外観。既存客室は、築約40年の木造建築をリノベーションした本館と、40フィートのコンテナ型モジュールを2段重ねたメゾネットタイプで、いずれもバリアフリーに対応していなかった
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〔写真2〕車椅子使用者の視点を設計に反映
2018年8月3日のリニューアルオープンに備え、6月26日に実施した車椅子使用者による実地調査の様子。ユニバーサルデザインをミライロが監修した。基本設計時から車椅子使用者の視点を入れ、実施設計に生かした。写真右奥は同社の松森桂ディレクター。中央が設計時から参画したコクア・ネットワークス(横浜市)の三ツ木俊之代表。右がデベロップの亀田純治ディレクター。新客室3棟はそれぞれ、20フィートのコンテナ型モジュール3つを連結した建物だ(写真:日経アーキテクチュア)
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 コフ事業主であるデベロップ(千葉県市川市)の菅原淳専務は、「UDに関心はあったが、知見がなかった」と話す。設計は、デベロップ社内の建築設計部門。菅原専務が感じた「足りない知見」を補うため、UDのコンサルティング会社ミライロ(大阪市、「UD浸透にはビジネスの視点 」参照)に監修を依頼した。同社は設計の初期段階からプロジェクトに参画している。

 「基準寸法などは法規で確認できるが、それを守れば使い勝手が良くなるものではないのが難しい」。事業者側の担当者であるデベロップの亀田純治ディレクターはこう話す。

 事業者作成の基本設計を基に、ミライロの建築部門と同社の車椅子使用者モニターであるコクア・ネットワークス(横浜市)の三ツ木俊之代表を交え、打ち合わせを何度か実施。三ツ木代表の意見やミライロの知見を集約し、実施設計に反映した。

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