デジタル化を推進する際のボトルネックになるのが、老朽化した情報システム。つまりレガシーシステムである。今、企業はレガシーシステムの解体を迫られている。レガシーシステムの作り直し方や延命方法、クラウド移行などのノウハウを徹底解説する。

 自社で構築・運用してきたレガシーシステムの移行先として、クラウドを選ぶ企業が増えている。クラウドサービスの信頼性が上がる一方で、業務系、基幹系のシステムで使いこなすノウハウが蓄積されてきたからだ。

 オンプレミス(自社所有)環境の受け皿となるだけでなく、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)など最新テクノロジーが利用できるのもクラウドのメリット。顧客とつながりを深めるSoE(System of Engagement)や、分析により気づきを得るSoI(System of Insight)領域のシステム作りに最適だ。

 ただし、法制度やコンプライアンスなどの制約で引き続きオンプレミス環境で運用したいシステムはある。オンプレミス環境とクラウドを併用するハイブリッド構成への考慮が欠かせない。

 クラウドへの移行では、どういった手法を使うかがポイントの1つ。オンプレミス環境の既存システムを変更なくクラウド移行する富士フイルム、クラウド上でシステム刷新するリクルートテクノロジーズの順に勘所を見よう。

VMwareシステムを丸ごと持っていく

 富士フイルムは、VMware製品をベースに構築したシステムをそのまま持ち込めるクラウドを選び、移行の手間やリスクを抑えた。

富士フイルムはVMware環境をそのままクラウドに移行
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 移行対象はSAP R3などの基幹系システムや、部門の情報系システムだ。オンプレミス環境にある1300台の仮想マシン(VM)のうち、セキュリティなどを考慮し、800台をクラウドに移行する計画。2017年11月に着手し、既に500台の移行を終えた。

 移行先である「VMware on IBM Cloud」は、仮想化ソフト「VMware vSphere」や管理ツール「VMware vCenter」といったVMware製品を、IBMがベアメタル上に用意するサービス。そこへの移行作業は「VMテンプレートを同期したうえで、仮想マシンファイル(VMDK)をクラウドに転送するだけ」(富士フイルム ホールディングス 経営企画部の柴田英樹 IT企画グループ長)と簡単だ。ネットワーク仮想化ソフト「VMware NSX」のL2延伸機能により、IPアドレスを変更する必要もない。

 2019年3月の完了を目指し、今後、SAPを使っていてサービスレベルの高いシステムの移行に取りかかる。クラウド移行により45%のコスト削減が図れる見込みだ。

 同社は「良質なデータを収集、分析して価値に変える」を旗印にデジタル化を推進している。社外の医薬文献や化合物の情報などと社内データを掛け合わせて、製品やサービスの革新を狙う。「オープンソースやオープンデータをいかにうまく使うかが大切」(柴田グループ長)と考える同社にとって、最新ITがそろうクラウドへの期待は大きい。

 医療系や個人情報のデータベースなどはオンプレミス環境で運用するため、ハイブリッド構成にならざるを得ない。ただ、VMware製品で固めてあるので、 vCenterによる一元管理が可能だ。

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