日本人設計者が中国メーカーと一緒にものづくりをすると、不良品発生などのトラブルが起きてしまうことがあります。しかし、その本当の原因は中国に無理解な日本人設計者にあるかもしれません。駐在の4年半を含めた7年間、中国でのものづくりに関わった私が、失敗経験を紹介しつつ、その理由を分かりやすく解き明かすこの連載。今回は第2回でも取り上げた中国人の国民性に関連して、不具合発生時の対応方法についてお伝えしたいと思います。

バリの修正を依頼しても納得しない

 私が中国に駐在していたとき、中国製の電気製品や雑貨、中国にある建物の内装には「雑なつくり」のものがとても多いと感じていました。それらを中国人に指摘すると、必ずといっていいほど同じ言葉が返ってきます。その言葉とは「機能するから問題ない」です。

 業務の中でもこの言葉を何回も聞きました。例えば、こんな経験があります。ある日、設計を始めて3年目の若手技術者である中国人のAさん(仮名)が、自分で設計した樹脂製のトライ部品を手にし、問題点を確認していました。トライ部品は新規作製中の金型で射出成形した試作品のため、そこでの問題を解決しておけば量産開始後の問題発生を未然に防げるのです。設計者はトライ部品で問題点を見つけ出し、金型の設計・加工や成形条件などの修正を依頼するのです。

 樹脂射出成形品でよく発生する問題としては、樹脂の収縮による凹みである「ヒケ」や樹脂が金型の中に回り切らない「ショート」などがありますが、一般的に最も多い問題は金型の合わせ面から樹脂がはみ出してしまう「バリ」の発生です(図1)。その発生原因は金型加工の仕上げだったり成形条件だったりしますが、それらの修正はそれほど難しいものでない場合がほとんどです。

図1 樹脂製のトライ部品で見つかる主な問題
「ショート」や「ヒケ」、「バリ」などの問題があった場合には、成形メーカーに修正を依頼する必要がある。
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 Aさんと一緒にトライ部品を確認していた私は、Aさんに「そのバリは修正依頼しておいてね」と言いました。ところがAさんは、ちょっとだけ考えた後に「(バリが発生しても)部品としては機能するから問題ないです」と返答してきたのです。

 私は「簡単に修正できるレベルのバリだから、修正依頼しておいて」と再度言いました。それでもAさんは「これは内部に組み込む部品です。ユーザーからは見えない部品なのですから問題ないのです」と譲りません。私は「トライ部品でバリの発生が見つかったときに修正依頼しないでそのままにしておくと、バリがさらに大きくなる場合があるから、今のうちに修正依頼しておくのが大切なんだよ」と言いました。

 それでもAさんはなかなか納得しません。「機能するから問題ない」の一点張りです。結局、私はAさんを納得させるのをあきらめて、最終的に修正依頼をするかどうかはAさんに一任する形で会話を終えたと記憶しています。

 この当時、私は「バリがないのに越したことはないし、修正を依頼するのも難しくはない。それなのに、何故このような簡単な仕事を渋るのだろうか」と不思議に思ったものです。

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