人手不足を背景に自動化のニーズが高まっている。だが、単に人を減らすための設備やロボットを導入しただけでは、差異化を図るのは難しい。今回は、自動化の都合よりも製品ブランドの維持徹底を優先し、製品設計をあえて一切変更せずに、これまでの手作業の微妙さを完全に模擬するという困難な自動化に挑戦した組み立てラインの事例を紹介する。

 カシオ計算機の国内生産拠点である山形カシオ(本社山形県東根市)は2018年8月下旬、デジタル式腕時計の普及機種「A159WA」の組み立てを全自動化したラインを稼働させる(図1関連記事)。対象製品は1989年の発売以来約30年が経過したロングセラー製品。生産効率を従来の約3倍に高めて製品の生産コストを2分の1以下に抑え、海外生産拠点と同等にした。

図1 山形カシオの一般時計組み立ての自動化生産ライン
(a)がライン全景。手前から奥に工程が進む。(b)はライン先頭で、キャリヤーにハウジング部品を組み込む装置の内部。部品を拾って保持し、レールを流れてくるキャリヤーに対して画像処理で位置を合わせ、組み付けるという動作はほとんどの工程に共通するため、各工程の装置の基本構造は共通している。
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 生産ラインの構成は、これまでの手組みの工程を踏襲し、各工程を自動化装置に置き換えた。造りやすくするような設計変更を製品に一切加えず、これまでの手作業を忠実に自動化したのが特徴だ。1日8時間稼働した場合の生産能力は月産10万個で、従来と同等という。

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