人手不足を背景に自動化のニーズが高まっている。だが、単に人を減らすための設備やロボットを導入しただけでは、差異化を図るのは難しい。今回は、省人化に加えてスピードを高めることでライバルに差を付ける自動ピッキングシステムの事例を紹介する。
ばら積み状態の製品から1つひとつの製品を正確に取り出すピッキング作業。物流倉庫や工場の部品配膳の現場で、このピッキング作業の自動化ニーズが高まっている。中でも、物流倉庫の現場は切望していると言ってもよいほどの状況だ。働き手がなかなか集まらない中、取り扱う製品の種類が増えて作業量は増加しており、もともと全体に占める割合が大きいピッキング作業のコストが一層高まる傾向にあるからだ。
こうした現場の声を吸い上げて開発を進めているのが日立製作所である。同社は、ピッキング作業を効率的に行う自動ピッキングシステムを開発した(図1)。製品が乱雑に詰め込まれた箱の搬送中に、一時停止させることなく箱の中から製品を素早く取り出す作業を自動的に行う。
新しい自動ピッキングシステムは、カメラと無人搬送車(AGV)、垂直多関節ロボット(以下、ロボット)から成る(図2、3)。ただし、製品の箱を運ぶAGVはもちろん、カメラとロボットは一体になっていない。製品をピッキングする場所にロボットを据え付け、カメラはそこから3.5m離れた場所に設置する。具体的にはAGVの軌道上で、かつロボットから3.5m手前の場所だ。AGVがピッキング場所に来る前に、箱の中をカメラで撮影して製品の状態をあらかじめ把握しておくための工夫である。
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