総務省が2018年7月3日に公表した2017年度の通信市場の検証結果(案)のうち、今回は携帯電話大手3社の動向を見ていく。

 前回の格安スマホの動向で説明した通り、MVNO(仮想移動体通信事業者)は勢いこそ鈍化したものの、契約数は依然として伸びている。大手3社は契約数シェア(MVNOを除く)がじわじわと目減りする構図が続く。

携帯電話の契約数における事業者別シェア
(出所:総務省)
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 2018年3月末時点の大手3社の契約数シェアは、NTTドコモが前年同期比1.5ポイント減の39.4%、KDDI(au)グループが同0.8ポイント増の27.9%、ソフトバンクグループが同0.4ポイント減の22.1%だった。KDDIグループは唯一シェアを伸ばしたが、UQコミュニケーションズの「UQ mobile」がMVNOではなく、MNO(移動体通信事業者)としてカウントされている影響が大きい。

 大手3社は利用者アンケートでも、料金の高さへの不満が高止まりしたままだ。それならば、もっと格安スマホへの顧客流出が進んでもよさそうなものだが、大手3社はあの手この手でうまく防いでいる。2018年度は一連の対策に効果が表れ、MVNOの勢いはさらに鈍化しそうな気配である。

大手3社で料金に「満足」は約20%

 総務省の利用者アンケートによると、大手3社に対する料金の不満は高い。「不満」と「非常に不満」の合計は37.0%。「満足」と「非常に満足」の合計は20.2%であり、不満が満足を大きく上回る。料金の満足度ではMVNOが合計77.0%、サブブランドが合計60.5%と大手3社を圧倒している。

通信サービスの料金に対する満足度。大手3社の満足度は「MNO」の部分
(出所:総務省)
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 それでもMVNOへの顧客流出が進まないのはなぜなのか。それは大手3社の囲い込み戦略が奏功しているためと考えられる。大手3社は最近、光回線だけでなく、電気やガス、保険なども提供し始めた。総務省が行き過ぎた端末購入補助を禁止すると、今度は浮いた費用をポイント還元に振り向け始めた。さらにそのポイントを自社のネット通販サイトなどに還流させることで、楽天のようにポイントを軸にした「経済圏」を確立しようとしている。特にNTTドコモはdポイントの拡大に躍起になっている。

 MMDLabo(MMD研究所)が2018年7月に開いたMVNO研究会。格安スマホに興味があるという一般ユーザーから、こんな声が聞こえてきた。「(格安スマホで)料金が安くなるのは理解している。だが現在の大手との契約をやめたときのデメリットが分からない。何か不利益があるのかと思うと、乗り換えに踏み込めない」――。大手3社は長期契約による割り引きを打ち出しているほか、今ではクレジットカードも発行しており、「(乗り換えは)通信だけの問題ではなくなってきている」という。まさに囲い込み戦略が効いている印象だ。

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